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「どうもこんばんは。伊織順平アワーのお時間です」
何で六月入ってすぐの夜にこんな馬鹿な話を聞かなきゃいけないのか。
ゆかりは怖がってるみたいだし、真田先輩と桐条先輩は興味津々。
最近学校で起きたちょっとした事件についてを面白おかしく話す気なんだろうけど……
私は正直、それどころじゃない。
裏瀬くんが最近忙しくて構ってもらえないのだ。
前にタルタロスに行った時に色々興味を刺激されたようで、独自に調べているらしい。
そのせいで最近は寮に居る時間も少なくなっていた。
元々寮に住んでいるわけでもないので、接する時間が更に減っている……
「世の中には、どーも不思議なことってあるようなんですよ……」
じゅんぺーが芝居がかった言い回しで語り始める。
それにしても不思議なこと、か。
例えば――――私が裏瀬くんに一目惚れしたこともそうだよね。
物語などでは運命なんて陳腐な言葉を使って居るけど、現実では不思議なことだ。
「ご存知ですか? 遅くまで学校にいると……死んだはずの生徒が現れて食われるよって怪談」
ありがちな怪談だと思う。
そう言えば月光館学園にも七不思議なんてものがあるのかな?
「私の知り合いに、そうですねえ……仮にAとしておきましょうか。Aがね、言うんですよ」
雰囲気を作るために妙な言い方しているんだろうけど、逆に滑稽だ。
けど、ゆかりには効果覿面のようで青い顔をしている。
真田先輩と桐条先輩は普通に聞いてるけど。
「"伊織さあ、オレ、変なもの見ちゃった"って。あんまり真剣なもんだから、何が〜? って私聞きました。彼に」
友達に聞いた、あるいは友達の友達に聞いた、怪談の常套句だ。
何の捻りもないのでもう少し工夫して欲しいと思う。
「彼、首傾げながらね、"実は例のE組の子なんだけどね……"」
あーあ、メール返って来ないなぁ。
「"……事件の前の番、学校来てるとこ見たよ"って言うんです!
"うそだ〜、そんなんあるかい、うそだ〜"って私、彼に言ってやりましたよ」
この小芝居にも飽きて来た。
どうにもこうにも、回りくどくていけない。
「E組の子、夜遊びするような人間じゃない
でも彼、真っ青なんだ顔。確かに見たって、ガタガタガタガタ震えてる……
私、考えましたよ。そうなんだ、倒れていたE組の彼女ぉ?
……食われたんですよ、死んだはずの生徒に! 私、ぞくーっとしました」
今、裏瀬くん何やっているんだろう?
「まあ、全部私の推測なんですがね」
私も何か力になれればいいのになぁ……でも、迷惑かけたくないし……
とりあえずこの怪談ネタ、話しのネタになりそうだしメールしてみよ。
「どう思
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