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転生者拾いました。
ノルン火山
悪夢
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 龍とは高位なモンスターである。我々人間を含む生命の頂点に立つものだ。軽々しく触れてはいけない。圧倒的な存在感が近付かせないが魔法を介せば近付ける。
 だが、それは禁忌でもある。我々にとっては神にも等しい存在。手段はどうあれ触れれば気が狂ってしまう。

 猛火龍が飛び立ったことでプレッシャーから解放され体に自由が戻る。
 戒めから放たれた猛火龍は天高く昇り巨石に群がる白光教会とその近くにいるオレたちを一瞥して口を開く。

『我は猛火龍──封印を解きし者よ。我を戒めた罪を受けるが良い。』

 一言喋る度に地が揺れ、裂け目から焔が噴き出す。
 猛火龍の口からもちろちろと焔が見え隠れしだし彼を中心に魔力が集中していく。

「……まずい。」

 本能的に猛火龍の口から見える焔は危険だと警鐘を鳴らす。
 一歩だけじりっと下がると後ろの部下は三歩下がる。
 よく分かっている連中だ。軽く手信号を後ろに送ると砂を踏みしめる音がし出す。

「後退しろー!!」
「「「うああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!??」」」

 悲鳴を上げて後退していく部下たちは手に持っていた武器も投げ捨てて一目散に巨石から離れていく。
 オレも脇にセリナとエリザを抱えて走る。こんな時でこそチートを使うときだと思う。
 オレが抱える際に小さく悲鳴を上げるが二人ともそんなには騒がなくて助かった。
 たまに人って可聴領域を越える声が出るから。集音性が常人より強化されているオレは耳が痛む。

「ワタシは置いてけぼりなのですね。」
「そういうわけじゃないが……。」

 どういう訳か遠くにいたはずのシルバがすぐ隣を涼しい顔で走っている。さっきまで巨石の近くで剣を交えていたのになぜここにいるのか。

「舐めてもらっては困ります。」

 なぜ読まれたし。

「顔を見れば分かります。」

 オレはそんなにわかりやすい人間か?昔から顔に出やすいと言われたことがあったような気がするがよく分からない。
 部下たちは無事に淵に到達し猛火龍の動向を見守っている。
 吹き出していた焔は火球に変わり、なおも巨大化している。だが、白光教会は身動き一つしない。流石に不審に思う。
 ついにオレたちも淵にたどり着き空と巨石を交互に見て考える。白光教会が動かない理由を。

「ところでカズヤ様、」
「いつまで脇に抱えられればいいのよ。」
「ああ、すまん。」

 脇に抱えっぱなしだったセリナとエリザを下ろして両手をプラプラさせて筋肉をほぐす。
 改めて巨石を見下ろすと白光教会に動きがあった。
 口々に意味の分からない言葉を発しているが、とんでもない量の魔力が集中している。戦略核並の威力の魔法に違いない。猛火龍の焔を相殺するつもりだろう。
 猛火龍が首をもたげる。
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