第13話「京都―初見」
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…表示あるんかい」
少しだけ間抜けな声が呟きとなって漏れる。
――最近なんでもありだな。
転送による武器の瞬間移動といい。探し人の位置の表示といい。しかもミッションクリア時の怪我の治療もある。
――次に獲得できる100点武器を考えるのが恐いな。
森の中に入り、姿をステルスで消して、屋根を飛んで移動する。
……いた。
突然に見えなくなったタケルを探しているのか、しきりに首を動かしている。ただ、焦った様子はなく、腰を屋根に落ち着けてリラックスした雰囲気が出ている。
ネギと同じ位の年齢だろうか、その表情は全くの無表情で、タケルにとってはどこかで見たことのあるようなないような、そんな顔だった。ざっくばらんな短い白髪が特徴的でもあり、まるで見たことのないような学校の制服を着ている。
タケルはしずかに後ろに立ち、ステルスを解除。
「何か用か?」
「! ……これは――」
驚いた、と表情を動かさずに呟き、振り返る。
「……いつから気付いていたの?」
その瞳から攻撃意思は感じられず、タケルは横に腰を下ろす。
「朝から」
「どうしてここが?」
「……企業秘密だ」
「そう……」
まるでお互いに感情がないかのような会話が繰り広げられる。
そこで、タケルは気付いた。
――俺みたいだな。
どこかで見たことがある顔だと思ったのはその容貌に、ではない。その表情にだ。
「それで、何か用?」
「……俺の台詞だ」
ずっと監視しておいてそれはないだろう。そんな顔のタケルに、少年は「ああ、そうだったね」
と頷き、呟く。
2人のいる場所は奈良公園内で最も高い建物の屋根の上。奈良公園の景色が一望でき、下では鹿と触れ合う人達がはしゃいで遊んでいる。その姿に目を細め、まるで呑気な声で尋ねる。
「それで?」
「君に仲間になってもらいたい」
単刀直入な彼の答えに、考えるように目を閉じる。
「昨日、近衛さんをさらおうとした集団の、か?」
「……少し違うね」
少年は立ち上がり、空を見上げた。
高い場所のせいか、強めの風が心地よく肌を打ち、空からの鳥の鳴声と地面からの人の声が交互に耳に届く。
「今、僕たちは世界を救うために動いている」
腕を広げ、風を感じるように目を閉じ、タケルに向き直る。
「僕は計画を遂行するだけの人形だから、本当のところ計画の成否はどうでもいい。ただ、君がいたら助かるのも事実だ」
どうかな? と言う。ジッと見つめるその瞳からは何を考えているのかわからない。立ち上がった少年とは対照的に、屋根に寝転がる。自然と視線は空へ向かう。少年も、タケルにつられて空を見る。
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