第13話「京都―初見」
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、どこか感傷にも似た感覚がタケルを包み込んでいた。その感覚が彼自身でもよくわからず首を傾げて、部屋を出ようと歩きだし――
「タケルさん〜〜!」
「ん? ……って、グボァ」
人間魚雷となってタケルの腹部に激突してきたネギに、頬をピクピクさせながら尋ねる。
「な……なんだ」
「僕5班の皆と一緒に回ることになったんですが、タケルさんもどう「遠慮する」
ネギが全てを言い切る前に断る。断られたことによりショボンと肩を落とすネギの頭に手を乗せる。
「少し用事がある」
「……用事?」
悲しそうな顔だったネギが首をかしげた。
「ああ」
「……そうですか、じゃ仕方ないですね」
ペコリと頭を下げてアスナの元へと駆けていく姿に頬を緩ませる。と、また近くから声が聞こえた。
「……先生用事があるアルか?」
「古さんか……どうした?」
「今日の自由行動、私達と一緒に回らないか聞きにきたアル」
「……俺と?」
「そうアル、カエデもいるアルよ〜?」
ニヒヒとオバサン臭い笑顔を浮かべる彼女が、なぜ楓の名前を挙げたのかわからず「?」と首を傾げる。そんなタケルに、クーが耳元を寄せた。
「今なら自由行動時間にカエデと2人きりなれるっていう特典付きアルよ?」
「……?」
「どうするアル?」
「いや、いっている意味がよくわからないが、遠慮しておく」
「え〜〜〜、何でアルか」
「……いや、だから用事が」
「む〜」と頬を膨らませて「もういいアル」と行ってしまった。困ったように頭を掻くタケルだった。
奈良公園。
「わー、ホントに鹿がたくさんいる」
喜ぶ生徒達を尻目に、タケルは移動を開始した。
――ここら辺にいるのか?
早足に歩く。
実は朝から粘っこい視線をずっと感じていた。
攻撃的なものではない、ただ無機質に覗く観察。これが一番似合う表現だろう。そんな、気分が少し悪くなる感じ。
それは近くもなく、遠くもなく。おそらく魔法によるもの。タケルにはその魔法を察知する術はないので地道に監視元を発見しなければならない。
当然、旅館内はくまなく探したが、それらしいものは存在しなかった。
何となくだがこの付近にいる気がする。そのため、奈良で誰かと一緒にまわるわけには行かなかった。
「……とはいっても」
周囲を見渡して困ったように呟く。
人も多いし、何より場所が広い。ミッション慣れしているだけのタケルにその視線元を見つけるなど到底出来そうになかった。
「ガンツ、表示してくれないか?」
ミッションでもないのに、ガンツが動くはずはない。それでも藁にもすがる思いでコントローラーを取り出した。
「…
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