第93話
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れば、各上の相手に勝つ事だってある。
現に麻生の周りには触手で囲まれている。
麦野達の姿も確認する事が出来ない。
(この女、強い。)
麻生は間違っていない、と思った。
あのスーツの男は麻生と戦えるのは幹部クラスか教皇くらいしか戦えないと。
今までどんな相手でも完封してきた麻生が初めて、互角の戦いをしているのだ。
(とにかく、再生能力を止める。
その為にも。)
一瞬だけ眼を閉じる。
次に眼を開けた時は黒い瞳が蒼い瞳に変わっていた。
直死の魔眼。
モノの死を見る事が出来る魔眼である。
この触手の恐ろしい所はその再生速度だ。
斬っても斬ってもすぐに倍以上に再生するのだ。
身体の周りに風の刃や炎の壁を作って迎撃しても意味がない。
だからこその直死の魔眼だ。
触手の死の線を捉えると、それになぞるように刀を振るう。
切断口から触手は再び生えてくる事はなかった。
「斬られた触手が再生しませんね。
なるほど、モノの死を見る魔眼ですか。
面白い眼を持っていますね。」
女性はとても興味深そうな声をあげる。
麻生の眼を変えたのを今の一動作で見抜いたのだ。
「それならこういった対処を取らせてもらいます。」
すると、死の線で斬り裂いた部分ではない所から何本の触手が出現する。
それを見た麻生は鬱陶しいそうに舌打ちをした。
(幻想猛獣と同じだな。
直死の魔眼は死の線に沿って斬り裂かないと意味がない。
これじゃあ、再生速度を少し遅らせるだけで何も状況が変わらない。)
一旦距離を開けようにも、触手が取り囲んでいるので簡単には抜けられない。
そもそも、襲い掛かってくる触手を対応しているだけで精一杯なのだ。
どうにかしてこの状況を切り抜ける方法を考えている時だった。
シュポン、という音が聞こえた。
次の瞬間にはドゴオオン!!!、と大きな爆発がした。
「何ですか?」
女性の注意が一瞬だけ外に向いた。
その隙を見逃す麻生ではない。
一点に力を集め、触手の包囲網を脱出する。
「うわ〜、結局生きているって訳。」
「未だにあの気持ち悪いのが動いているのでまさか、かと思い携行型対戦車ミサイルの弾頭を超発射しましたが、本当にあの中で生きているなんて。」
「少し無茶なやり方だが、助かった。」
「これでさっきの借りは返したからね。」
「大丈夫?」
「まぁ、今のところは大丈夫だな。」
麦野達のいる所まで下がる麻生。
あの爆発は麦野達によるものだと判断した女性はため息を吐いた。
「失敗ですね。
先に貴方達を食べていればよかったですね。」
「絶対にあんたみたいな気持ち悪い変な生物に食べられてたまるか!」
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