Episode3 口喧嘩
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「な、何をっ!」
「はい、そこまで」
売り言葉に買い言葉でヒートアップした俺達をジンの一言が止めた。それでも睨み合う俺達をジンが肩を竦めながら諭す。
「アキ、君はすぐに人に突っ掛かる癖をやめなよ」
「だって、こいつがっ…」
アキの反論を遮るように視線がこちらに振られる。
「カイト君も、アキの挑発に乗らないでやってくれるかな?」
「でも!」
「でももだってもないよ。…それに君の可愛いパーティーメンバーの前で言い争うのはあんまり良くないんじゃないかな?情操教育的な面でさ」
《パーティーメンバー》と言われ振り向くとアカリと目が合った。が、なんだが怯えているようだった。気付くと服の袖を強く握られていた。
「あのっ…。ケンカはダメですよぅ…」
そういって目を潤ませるアカリに俺は上がり気味になっていた肩を下げた。ごめんな、と言いながら頭を撫でてやる。
「そうだな、ケンカはダメだよな」
「そーですよっ!」
「でも、さっきまで俺に怒ってたのは誰だっけ?」
「はぅ!……ごめんなさい…」
「…まぁ、俺も悪かったよ。これで仲直りな?」
「あっ!はいっ!」
手の下から笑顔で見上げてくるアカリの横でニヤニヤとジンに見られていたアキが俺と同じように肩を下げた。
カウンターの向こうで女性が苦笑のように笑ったのがトドメだったようだ。
「分かったよ、もう!悪かったな、突っ掛かって!」
「あぁ、こっちこそ――」
「じゃあ、さっそくクエスト受けよう!」
「悪かったな…っておい聞け!」
俺の言葉を半分以上無視してアキがカウンターに向かった。やれやれ、といったふうにジンが再び肩を竦めてみせる。
カウンターに右手を置いたアキはいきなりその女性に話し掛けた。
「なぁ、なにか困ってるのか?」
二秒ほど沈黙が続いた。その言葉をクエストの始点と捉えるのか、AIが判断しているのだろう。やがて、女性の表情が物憂げなものとなり、その口が開いた。
「…実は困っています。主人を…この店の店主を探してはもらえないでしょうか?」
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