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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました
まもなくあの方成仏するそうなんですが・・・・
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コンクリートの地面には俺を涙目で、上目遣いで見上げる容姿端麗の少女。まだ時刻は六時過ぎなのに、すでに月が出ていて、彼女を月光が照らす。月の光に照らされた彼女のあどけない表情が身体がよく見える。涙目の上目遣いというドキドキ要素でなんか俺は変な気分になってくる。
しかし、彼女は俺のその気分を全く知らずひたすらに震えていた。俺は何故かいたたまれない気分になる。そんなとき、彼女の目線がふと、俺の隣に向き・・・・
「あ、田中さん・・・。」
彼女は俺の隣を見て、呟く。不思議に思い隣を向くとそこには・・・・
「・・・・・・・・・・?」
理解不能理解不能。俺の視覚がすぐさまそれを訴える。しかし、俺の目の前にいるものは、まぎれもない理解不能だった。
まず目立つのはその禿頭。月光に照らされて、その頭はさらに存在感を増している。年齢は五十代後半といったところだろうか。垂れた目や、ぜい肉だるだるの頬、よれよれの白Tシャツ。その全ての要素が、定年退職したオヤジです!を世界に向けて主張していた。しかし、そんな主張が消し飛ぶほど、その男性は特徴的だった。男性は・・・・
下半身がなかった。いや、正確には、下半身らしきものはあった。なぜか半透明の布のようなものが、男性の本来脚のあるべき場所から出ていて、風もないのにヒラヒラしていた。そして、布だけではなく、男性の身体全身が半透明で、透けていて、男性を通して向こうの景色が見える。しかも男性は浮いていた。地面から数十センチほど上をプカプカと。
「・・・・・・・・?」
なんでこんなものが俺のすぐ隣に?ていうかコイツ誰よ?え?なにこれ?夢?幻覚?
「え?あなたも見えるんですか?」
混乱している宏助にさらに彼女が爆弾投下。え?あなたも見えるってことは彼女も見えるってこと?確かにさっき『田中さん』とか呼んでたど・・・・。そういった様々な疑問を宏助は彼女に視線で訴える。すると彼女はその意図を理解したのか、小さくうなずき、話はじめる。
「彼の本名は、田中正一。五十年前にタバコと酒によって煩った肝臓の病によって死んでしまったんですけど・・・・」
「心の底からどうでもいいわっツ!」
思わず大声で俺は叫んでしまう。すると彼女は、
「彼の死がどうでもいいっていうんですか・・・?そんないくら彼が自分の身体のことを考えずにタバコや酒を摂取していたとしても、それはいくらなんでも・・・。」
と悲しげに俯く。思わずその表情に困り、田中、と呼ばれた男の方を見ると彼は「ザマぁ。」とでも言いたげななんともむかつく表情をして、俺を見ていた。
「・・・・・死ねぇ!」
「もう死んでます!」
彼女の適切なツッコミと共に渾身の右ストレートを叩きこむが、俺の拳は彼をすり抜けただけで、何の感触ももたらさない。彼の背後にあったベンツが俺の拳の風圧で凹んだ気がす
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