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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第三十七話
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「奴等にテコ入れすれば此方の産業は潤います。イギリスに支援していますが、日本にも支援すれば日本の市場にもアメリカ企業が潜り込めると思います」
「ふむ……外から侵略するのではなく内から侵略するのか……面白いじゃないか」

 ルーズベルトはニヤリと笑った。

「そうなれば善は急げだ。日本に対する支援を広げようか」

 ルーズベルトは更なる支援を承認するのであった。



――横須賀基地――

 この日、横須賀基地に二隻の特設巡洋艦と一隻の輸送船が欧州から帰還した。
 二隻の特設巡洋艦は金剛丸と金龍丸であった。この三隻の船団の任務は欧州――ドイツへ行き、ベ式機関短銃と銃弾の受け取りとドイツ海軍へ零式水偵二機の受け渡しであった。
 門の出現後、特地へ進出した日本軍であるが炎龍との遭遇で軽機関銃や機関短銃の使いよさの報告があり、陸海は共同でベ式機関短銃とその銃弾(MP28)の大量購入を決定して三隻はドイツに派遣された。
 しかし、ドイツもただ金だけでくれてやるわけにはいかず海軍の零式水偵の譲渡を言ってきた。(譲渡するなら購入金額を半額にすると言っていた)
 海軍は苦渋の末、二機の譲渡を決定したのだ。
 三隻は大西洋経由でドイツに向かい、何度かアメリカやイギリス艦艇の臨検を受けつつもフランスのブレスト港に到着。
 準備されていた機関短銃を受け取り、二機を譲渡した。(なお、購入した機関短銃は今回だけでも五千丁にも及ぶ。そのため輸送船に入りきらないのは特設巡洋艦に載せられたがこれもまた入りきらないので二回目の受け取りが予定されている)
 機関短銃を装備するのは下士官から上の階級となっている。
 陸海軍は少しずつではあるが内部の改革が出来ていたがそれでも相変わらず仲は悪い。
 しかし、特地派遣軍は割りと仲は良好であった。樹達の交流により派遣軍でも連帯感が出来ていたからだ。
 また、派遣軍司令官の今村中将も良識派である。(山本五十六と友人でもあった)

「特地派遣軍への物資輸送は完全であろうな?」
「は、特地派遣軍の要請は出来る限り応えるようにしてあります。それと、特地からの報告では油田地帯とダイヤモンド鉱山を発見したそうです」
 エルベ藩王国内を調査した結果、ダイヤモンド鉱山が三ヶ所と油田が四ヶ所も発見された。

 陛下に戻ったデュランは七ヶ所の周辺土地を日本に譲渡する代わりに日本に援助要請をした。
 つまり、日本の政治や軍事を学ぶため人員を派遣させろだ。
 日本は二つ返事で即答した。

「特地で味方があれば運営しやすい」

 政府をそう判断したのである。

「特地に技師を送る。上手くいけば日本は石油を自国で生産出来る」
「判りました」

 辻と東條はニヤリと笑うのであった。



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