第二章 [ 神 鳴 ]
十六話 朝霧を染める黒
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の攻撃力は低い。
だから普通に考えて盾ではないといえ大剣を貫く事など出来ない――――しかし大剣は色欲が触れた所から霞となって消えていった。
予想通りあの大剣も闇を形にした物だった様だ。大剣を消し去り色欲の刃はそのままルーミアの右肩に鋭く突き刺さる。
「あああぁぁぁぁぁッ!!!」
ルーミアは突き刺さった刃を無理矢理引き抜き後方に飛び退るが急に体勢を崩し地面に転がった。
「なっ、何これ?」
自身に起きた変調に戸惑っているようだ。
「言ったでしょ、“この霧”に触れたら狂うって。霧はもうそこら中に広がってるよ。それに今の一撃で体内に直接打ち込んだしね」
倒れているルーミアに近づきながら説明を続ける。
「今君の視覚、聴覚、方向感覚、知覚はまともに働いていない。僕の声も何処から聞こえてくるか分からないでしょ?」
彼女の全感覚はまともに機能していない。その証拠に彼女は僕を見ている様で僕を捉えてはいなかった。
「…もしかして長々と説明してたのは…」
「うん、時間稼ぎ。この力即効力がなくてね」
ハハハ、と笑いながら剣の切っ先を彼女に向ける。
「この力は君みたいな属性を制御する力と一番相性がいいんだ。さて悪いけど止めを刺させてもらうよ」
僕はそう宣言し倒れているルーミアの頭に狙いをつける。
「………ううあぁぁぁぁッ!!!!!!」
直後、ルーミアを中心に大爆発が起こった。咄嗟に回避し大きく距離を取る。
「………無茶するなー」
おそらく逃げる為に制御できない妖力を無理矢理光弾にして自爆覚悟で炸裂させたのだろう。
今すぐ追いかければ見つけられるだろうけど、逃げるなら追わないって言っちゃったし追わなくてもいいか。
静寂が戻った渓流で僕は釣りを再開する。逃げた魚達も少しすれば戻ってくるだろう。紫が起きる前に帰れればいいんだけど。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
「一体何してたの!」
帰宅して紫から発せられた第一声がこれだった。どうやら相当お冠のようだ。
「一体何ってちょっと釣りに。ちゃんと置手紙してたよね?」
そうきちんと置手紙を残したはずだ。
「置手紙ってこの『魚』って書いてる紙の事?分かる訳ないでしょう!」
紙を僕の方に突き出してくる。うん我ながら力強くそして滑らかな筆捌きだ。そんな風に自画自賛してみる。
「何かつまらない事考えているでしょ?それになんでそんなにボロボロなの!」
紫に言われたとおり僕の格好はボロボロだった。小さい傷は塞がっているけどあちこちにまだ傷は残っていた。
「い
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