第二章 [ 神 鳴 ]
十六話 朝霧を染める黒
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。なんとかギリギリで躱し続けるが小さな裂傷が次々に刻まれていく。
「ちっ!しぶとい!」
ルーミアが舌打ちをすると闇の中に光が生まれる。色とりどりの光は光弾となって僕に殺到する。
それに対しこちらも光弾を放ち相殺するが突如右腕に痛みが走った。
「痛!何だ!」
暗くて良く見えないが狼のような者が右腕に喰らい付いていた。それの頭を手刀で潰すと狼は靄となって散っていった。
「『闇を統べる程度の能力』。私はこの力で闇をあらゆる形に出来るの!言ったでしょ貴方はもう籠の中の鳥だって!」
つまり前後上下左右すべてから攻撃を仕掛けられるのか。この子相当強いな。しょうがない出し惜しみは無しだ。
「色欲」
左手に現れたのは刃渡り九十センチ程刃幅二センチの細身の剣、レイピアだった。
護拳部分は茨型のスウェプトヒルトになっており刀身からはうっすらと青白い光の様な霧が放たれている。
僕はそれをステッキの様にクルクルと廻す。
「ルーミア、これは警告なんだけど逃げるなら追わないよ?」
わざと挑発するように言ってみる。反応は、
「ふざけた事を言ってくれるわね!どう見ても追い込まれているのは貴方よ!」
怒りを露にして言い返してきた。まぁ当然か、傷を負ってるのは僕の方だし。周りの闇から殺気が迸る。やっぱり位置は掴めないけど問題は無い。
「これで終わりよ!」
ルーミアがそう宣言する。四方八方から闇色の狼達が襲い掛かってくるのが“見えた”。
「なっ!?」
その時になってようやくルーミアも気付いた。僕の周りの闇が薄まっている事に。
襲い掛かってくる狼を色欲で斬り払うと狼達は刃が触れただけで霞となっていった。
「……何をしたの?」
ルーミアが疑問を投げかけてくる。
「さぁ?何だろうね?――――なーんてね。いいよ、種明かししてあげる♪」
色欲をクルクル廻しながら種明かしを始める。
「この剣はね、狂わせる力があるんだ。闇が薄くなったのは君の力の制御が狂ったから。さっきの狼も一緒」
僕は“姿が見え始めた”ルーミアを見ながら説明を続ける。
「この刀身から出てる霧に触れると狂わせる事ができるんだ。まぁ僕の能力は10分しか使えないんだけどね」
「自分の能力の事をベラベラ喋って随分余裕ね」
「そう?まぁ問題がないからね。それじゃぁ終わらせようか」
瞬間、ルーミアとの間合いを一気に詰める。
自分の姿が見えるほど闇が薄くなっていた事に気付いていなかったルーミアは咄嗟に大剣を盾代わりに防御する。
突き。レイピアで最も基本にして最大の攻撃だが最大の攻撃といってもレイピア自身
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