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「初の探索でも、やはり得るものはなかった……っと」
初のタルタロス探索から三週間ほど経ち、五月も下旬に入った。
何となしに寮へ来た俺は、やることもないので俺は記録をつけようと備え付けの机でペンを走らせていた。
いや、記録と言うよりも、どちらかと言えば日記だろうか。
取りかかる問題もなければ学校にも行ってない俺だ、時間だけは腐るほどあるのだ。
だから何となしにノートに書いてみたのだが……
「アホらし」
すぐに馬鹿らしくなってノートを閉じてベッドに飛び込む。
軋むスプリングの音がやけに大きく聞こえるのは今が昼間だからだろう。
他の連中は学校に行っているため、寮には俺しかいないのだ。
ゴールデンウィークもとうに過ぎてしまったので、これと言った連休もなく当然と言えば当然。
こうやってニートやってる俺の方がおかしいのだ。
「しかし、あの満月の日に現れたシャドウは……」
S.E.E.S.に入部してからの記録付けは止めたが、考えることは止めない。
目下の興味は五月九日の影時間に現れた巨大シャドウ。
怪我で戦線にこそ加わっていなかったが、中々に興味深い戦いだった。
まず、シャドウがモノレールを乗っ取ったと言うのも面白いが……何よりも気になったのはおかしな既知だ。
既知に出くわした時に感じるのはガッカリ。
例外と言えば公子くらいだったが、もう一つの例外が出て来たのだ。
遠くから桐条や真田と戦いを見ているだけだったのに、俺は確かに感じた。
恐ろしいと感じてしまう既知を。
断崖に向かっているような、あるいは十三階段を昇っているような取り返しのつかない恐怖。
既知ではあったが、肝が冷える思いをしたのはアレが初めてだった。
「確か、ああ言う系統のシャドウをS.E.E.S.が確認したのは――」
四月九日、公子がペルソナ能力を発現する切っ掛けとなった戦いだと聞いた。
それ以前にはあんな大物を見かけたことはなかった、この情報から言うと――
「あの子が来てから巨大シャドウが現れ出した、とも言えるな」
無理矢理な気もするが、彼女の特異性を鑑みるにこの線も捨てきれない。
詳しくは聞いていないが影時間やシャドウはそれなりに前から居たと言う。
けれども巨大シャドウが現れたのは、公子が現れてから。
…………影時間、シャドウ、ペルソナ、諸々の裏にある真実は一体何なのか。
興味が尽きない、これが未知に繋がるかもしれないと思ったら余計に。
「ん――俺だが?」
携帯が震える、液晶を見れば舎弟の名が浮かんでいた。
『裏瀬さん、頼まれてた件――調べときましたよ』
「おう。何か分かったか?」
『例の荒垣って奴なんですがね、元は裏瀬さんが居る寮
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