暁 〜小説投稿サイト〜
P3二次
Y
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
"、彼の御方に御助力を願おうと思っておりましたが……選ばれたのはテオ」

 この意味の分からない言葉を理解する日が来るのだろうか?
 そんな俺の疑問を余所にエリザベスは朗々と語る。

「諦めかけておりましたが、こうして似た性質を持つ御方に出会えました。これも何かの導きなのでしょうか?」

 力と言う顔の側面に破壊と言う性質があるのは否定出来ない。
 だが、それがどうしたと言うのだろう?

「いずれ、依頼をすることがあるかもしれません。その時は是非、御受け頂くことを願っております」

 慇懃にお辞儀をするエリザベス、今気付いたがその所作には微塵の隙もない。
 そうあろうとして振る舞えばある程度の隙は消せる。
 だが、自然に消せるレベルとなると――――俺と彼女、彼我の実力差は察することも出来ない。
 蟻と象くらいの差ならばまだ可愛いもの、そう思えるほどに開きがあるのは確実だ。

「……そんな余裕があったら、な」
「ええ、それで構いません」
「オーライ、ならその時は受けさせてもらうよ」

 もう聞くことは聞けたし、収穫もあった。
 このまま別れても良いのだが――――貰いっ放しは性に合わない。

「礼代わりだ」

 あるいはシンパシーか、どちらでも良い。

「折角だから街でも案内してやろうか? 何、丁度暇してたとこなんだ」
「何と、御厚情感謝いたします。では、ポロニアンモールの案内をして頂きたいのですが……よろしいでしょうか?」
「ああ、良いよ。あそこらは庭みたいなもんだからな」
「ありがとうございます。ええ、あの辺りから出て来たのですが……一直線にここへ来たもので」

 導かれるままに、か。
 一体何がエリザベスを――いや、俺と彼女を導いているのか。
 何時か俺は見えない繰り糸で操られていると考えたことがある。
 エリザベスに絡まっている糸は、はたして俺と同じものなのか?
 そんなことを考えながら俺は彼女を伴ってポロニアンモールへと向かう。

「命の源たる水をもてあそぶ、罪深きアート」

 交番などが立ち並ぶ広場に来た途端、エリザベスが意味の分からないことを言い出した。

「出た時から気になっておりました」
「噴水が?」

 罪深きアートと言うが、それは状況によりけりだ。
 干ばつで苦しむ国などでは確かにそうだが、この国では何てことはない。

「ええ、その魔性ゆえに、硬貨を投げ入れた者の願いを叶えてしまうものまであるとか……」
「そりゃトレドの泉だろうよ」

 尚且つ、それにしたって随分と限定的な願いだけだったはず。
 何でもは叶わないと記憶している。

「そうなのですか?」
「そうだよ。それに、少なくともここでコインを投げ入れてる奴は見たことねえ」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ