暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、都につく
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れたんだから頑張らないと!」

 そういって、サンドラちゃんは胸の前で小さく拳を握った。
 まだ親に甘えたい年頃だろうに、という思いと、脆く、壊れてしまいそうだという思いが僕の中を支配した。

「そっか。頑張ってるんだね、サンドラちゃんは」
「え・・・か、奏?」

 サンドラちゃんは僕の急な行動に戸惑い、そう名前を呼んできた。
 まあ、急に頭を撫でられたらそう反応するのが当然だろう。

「ゴメンね?頭撫でられるの、いやだった?」
「ううん、そうじゃなくて・・・久しぶりだったから、驚いた」

 どうやら嫌がっているわけではないようなので、このまま続けさせてもらおう。

「でも、つらいことを溜め込んでたら、いつか壊れちゃうよ?誰かに相談しないと」
「でも、マンドラ兄様には相談できないし・・・」
「じゃあ、僕に相談してよ」
「奏に?」
「うん。コミュニティが違うからいつでも聞けるわけじゃないけど、会った時に愚痴ぐらいは聞けるし、相談にも乗れる」
「でも、迷惑じゃ・・・」
「それも気にしなくていいよ。迷惑だとは思わないから。誰かが頼ってくれるのは嬉しいし」

 そして、僕はリリちゃんのほうを見る。

「まあ、さすがに僕にはし難い話もあるだろうけど、リリちゃんもいるし。いいよね?」
「もいろんです!遠慮しないで相談してね、サンドラちゃん!」
「・・・うん!ありがとう、奏、リリ!」

 その後、僕の部屋でリリちゃんとサンドラちゃんの愚痴、相談を聞き、二人は部屋から出てリリちゃんの部屋へと向かったのだが・・・

「奏さん・・・広くて落ち着かないので、同じ部屋ですごしてもいいですか?」

 リリちゃんはそういって戻ってきた。
 “ノーネーム”では百二十人で寝てるし、一人でこの部屋を使うのは落ち着かないんだろう。
 僕も一人で過ごすよりは二人のほうが楽しいから、そのまま同じ部屋で過ごした。

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