第九十六話
[16/19]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
彼はあの災厄を止めるだけに現れ、そして結果を得た以上用は無いと身を隠したのだろう。
ギルガメッシュは特にこの世界に面白みは感じなかったのか、聖杯の破壊と同時に契約満了で座へと戻っていった。
特に誰かに言い置いた事も無いが、それは唯我独尊な彼らしい去り方だ。
「なんとか無事に終えたわね」
「そのようね。…まぁこれでお父様も父親としての考え方が出来るでしょう」
凛は時間を置いて心の整理が付くまで待つと桜を連れて時臣の所へと歩いていった。
俺はといえば、聖杯降臨の儀式で消耗したイリヤを休ませる為に一度衛宮邸へと戻る。
「ねえ、チャンピオン。お願いがあるんだけど」
「何だ?」
「あのね、アインツベルンの城まで連れて行って欲しいの」
「は?何で?」
「うん、ちょっと理由はまだ話せない。だけど、わたしにとっても、そしてこの世界のわたしにとっても悪い事じゃないはずだわ」
「イリヤの命令なら従うまでだが…」
「命令よ、チャンピオン。わたしをこの世界のあの冬の城まで連れて行って」
イリヤの中の何か覚悟を感じ取った俺は、イリヤの願い通り、転移魔法で雪の閉ざされたあの城へと転移した。
「あそこに行って」
イリヤを抱えたまま空中から進入すると、イリヤの指差した部屋の窓へと隣接する。
「チャンピオン、壊して」
言われた俺は、少し強引に窓ガラスを破壊して、潜り抜けれるだけの通路を作った。
バリンっ!
「え?なになにっ!?」
部屋の中から、突然の事に驚く子供の声が聞こえてくる。
声に核心を持ったのか、イリヤは俺を促し、窓を潜った。
「初めまして、イリヤスフィール」
「あなたは誰?」
イリヤが部屋の主、おそらくこの世界のイリヤであろう少女へと話しかけていた。
「それはまだ答えられないわ。チャンピオン、眠らせて」
説明も無いまま、またも無茶振りを…
写輪眼で睨み、この世界のイリヤ意識を奥底に沈めると、バタリと糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる所をギリギリの所で受け止める。
バタバタと音を断って廊下を何者かが走ってくる気配がある。
「その子を連れて行くわ。帰りましょう、チャンピオン」
来る事も一瞬なら帰るのも一瞬。
誰かが駆けつけてくるより先に俺達はこの世界のイリヤを連れて衛宮邸へと戻った。
衛宮邸へと戻ったイリヤは土蔵へと向かい、魔法陣を用いた何かの魔術の下準備を整えると魔法陣の上にこの世界のイリヤを横たえ、自分もその横に寝そべりその手を取った。
「イリヤ…?」
イリヤのする事に意を唱える事はしないが、説明はして欲しい所だ。
「あのねチャンピオン。聖杯として造られたわ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ