第九十六話
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を加える。
「やっぱり汚染されていたわね。この冬木の聖杯戦争はもう無色透明の魔力の塊ではなく、醜悪な呪いの塊に変化してしまった。…呪いとは言え高純度の魔力の塊ではある。これをうまく制御できれば根源への到達も可能かもしれないわ。…だけど、この呪いは貴方程度が制御できる物ではない。制御を離れたこの聖杯は破壊の力を伴って世界を呪いで埋め尽くすでしょうね」
「…ばかなっ!」
説明する間も黒い泥は地面に垂れ流されては焼いていく。
根源へ至る可能性は確かにまだ残されている。
魔術師は死を身近に感じ、覚悟し、日々研鑽している。根源への妄執は魔術師として純粋で真摯なほど高く、また捨てられない。
現に時臣もこの緊迫した状況で葛藤に時間を使っている。
それほどまでに魔術師としては根源への足がかりは魅力的すぎるのだ。
ガサリと木の葉が揺れる音がしたかと思うと、常人には残像しか映らないほどの速度で何者かがこの状況下で取りえる最善の位置取りから駆け出し、一息で時臣の腕を背後から捻り上げ、そのこめかみにいまどきの銃にしては古めかしい大き目の拳銃の銃口を突きつけた。
俺とソラはといえば乱入者に気が付いた瞬間に取り押えるよりも守る方に体を動かした結果、時臣までは手が回らなかった。
ギルガメッシュは此処まできたらマスターがどうなろうと関係ないと動かなかったのだろう。
「衛宮切嗣…」
チラリと横目で後ろを確認した時臣が自分に銃口を突きつけている誰かの名前を呼んだ。
「ああ、他の連中も動かないでくれ。サーヴァントには効きはしないだろうが、ここら辺りを一片で吹き飛ばせるほどの量の爆薬を仕掛けてある。僕に何かあれば直ぐに起動し、君達のマスターを木っ端微塵に吹き飛ばすだろうね」
なるほど。
確かに普通の人間、いや、魔術師に対しても有効かもしれない。
切嗣は巧みに時臣を盾に使い、此方からの魔術的な干渉を受け付けないように陣取った。
「衛宮切嗣…何が目的だ…いや、問われるまでも無い事だな」
魔術師である時臣としては目の前の聖杯の奪取が目的だと考えたようだ。
「君が何を思ったかは知らないが、僕の言う事を聞かなければこの引き金を引く」
「くっ…」
ギリっと奥歯をかみ締める時臣。
「要求は何だ?」
時臣が驚愕を胆力で押さえ込み、切嗣に問いかける。
「あの聖杯を貴様のサーヴァントに破壊させろ。邪魔するのならあの二体も貴様のサーヴァントに排除させるんだ」
「なっ!?」
「ほう、雑種が我に汚物の掃除をさせようというのか。我にそのような事を命令したくば全ての令呪を使うのだな」
時臣は躊躇する。
時臣の令呪は残り二画。
一つを俺とソラ
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