第九十六話
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◇
円蔵山、柳洞寺。
寺の中の住職以下の居住者には写輪眼で暗示を掛け下山させ、万が一の被害を抑える。
これでこの山一帯には普通の人間はいない。
凛達は時臣を監視していたようなので、念話でソラに勝者である時臣を柳洞寺へと誘導してもらう。
聖杯降臨の儀式は行うが、まだ俺達にはそれが汚染された物か、そうでないのかの確証が得られていない今、一応の勝者である時臣には参列させる方針だ。
寺の敷地の中は円も駆使してくまなく気配を探り、誰も存在していないのは確認できたが、ある種の結界に覆われているこの柳洞寺では林の中に潜まれていたらサーヴァントである俺達では察知できない所が少々不安ではある。
しばらくするとソラが凛と桜を連れてやってきた。
「聖杯降臨の儀式を行うのね?」
と言う凛の問い掛けに、俺が支えていなければ立つ事もまま成らなくなってしまったイリヤがそれでもしっかりした声で答える。
「ええ。それで、もしこの聖杯が汚染されていたら…」
「あなたを淀みから助け出すのは私の仕事ね。サーヴァントではあの汚染にはたちまち飲まれてしまう可能性が高いわ」
「ええ。お願いするわ。その後は…」
「聖杯の破壊。令呪もあるしチャンピオンも居る。被害が出る前に吹き飛ばしてあげるわよ」
凛がイリヤの願いを受け入れ準備は完了する。
遅れて時臣とギルガメッシュが境内にやってくると距離を取って歩みを止めた。
「ほう、此処で聖杯の降臨に望むのか」
見ものだな、とギルガメッシュが両手を組んで横柄に言い放った。
対して時臣は勝者であるはずが、俺とソラのサーヴァントがまだ二騎存命している事で、自決させなければならないギルガメッシュを手放す事が出来ず、何ともいえない表情だ。
時臣はイリヤが自身のサーヴァント…俺とソラを自決させ、七騎すべての魂をくべる事を期待しているようだが、イリヤにその意思は無い以上実現はしない。
「貴方が今回の聖杯戦争の勝者ね?トオサカトキオミ」
「ああ」
「それじゃぁ、わたしは聖杯の運び手として、また器として勝者に聖杯を委ねましょう」
イリヤを急遽柳洞寺から引っ張り出してきた祭壇の上に降ろし、俺はイリヤから距離を取る。
イリヤは目を閉じ、精神を集中させるとほのかに体が発光しながら宙に浮いていく。
しかし、厳かだったのは此処まで。
「やっぱりか…」
イリヤの背後に黒い孔が開き、中から大量の呪いが泥となってあふれ出してきたのだ。
「これは何とも醜悪だな」
ギルガメッシュは率直な意見と共に興味を無くす。
「これはっ!?」
「これが聖杯よ」
「これが聖杯…だと?」
驚きの声を上げる時臣に凛が解説
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