第九十六話
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ンピオン、私達をあのビルへ降ろしてくれるかしら」
雁夜おじさんはギチギチと鳴くおぞましい蟲を使役してお父様にけしかけているが、お父様は炎を巧みに操りけしかけられた蟲を焼き払っている。
攻防は一方的だが、お父様の炎を突破しうるだけの魔術の素養を雁夜おじさんが持っていないのは明らかだった。バーサーカーも操っている今、時間を稼ぐだけでおそらく自滅するだろう。
私達はお父様と雁夜おじさんからVの字に距離を取って降り立った。
「なっ!?桜っ!?」
「桜ちゃんっ!?」
第三者が乱入したと言うのに第一声は桜の心配か。なるほど、どちらもまだ人間の情を捨て去っているわけでは無い様で安心した。
桜は大声で名前を呼ばれ、更にはおぞましい蟲のに驚きショックを受け、私の後ろに隠れ太ももにしがみついている。
その様子を見て二人は険しい顔で私をにらみつけた。
「君達は誰かな?」
冷静に状況を判断してまずは会話をと言葉を発したお父様に対して雁夜おじさんは問答無用で蟲をけしかけてくる。
「桜ちゃんを返せっ!」
「チャンピオンっ」
『サークルプロテクション』
ゴメン、任せたと名を呼べば、期待を裏切らないチャンピオンは直ぐに防御魔術を行使した。
『バリアバースト』
ガチガチと牙を突きたて食い破ろうとしている蟲をチャンピオンは構築した防御魔術を炸裂させる事でその全てを吹き飛ばし、殺しつくした。
「なるほど、イレギュラーサーヴァントが一騎とは限らないと言うわけか」
お父様は海魔を取り込んだであろう向こうのチャンピオンを見ていたのだろう。二騎居るチャンピオンにもどうやら自分の中で納得したようだ。
「それで、その娘を連れてきて私と交渉でもしたいのか?残念だけど、その娘は間桐の娘だ。以前は確かに私の娘だったかもしれないが、それを材料に私と交渉は出来ないと思ってくれたまえ」
「時臣っ、貴様っ!」
魔術師として弱みを見せないお父様と、それに食って掛かる雁夜おじさん。桜はお父様の言った言葉の意味を理解しようとしてショックを受けている。それもそうだ。彼女にしてみれば間桐に養子に出されたと言う記憶があいまいなのだから。
「なるほど。あなたはそっちの白髪の人とは違い体の芯まで魔術師なのね…それは魔術師として尊敬するけれど。…そうね、チャンピオンの言葉の意味が本当の意味で分かったわ。人を助けると言う事は、その人間の全てに責任を持つと言う事だと言った彼の言葉が」
「何を言っているのだね?」
お父様は本当に意味が分からないと言う感じで聞き返した。
「そっちの白髪の人は知っているでしょう?桜が間桐の家でどう言う扱いをされていたか」
「は?…あ、ああ…当然だ。俺は桜ちゃんを助け
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