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弱者の足掻き
八話 「補殺」
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ともに軽くストレッチをする。
 それが終わり、まず最初は簡単な筋トレからだ。

「じゃ、いつも通り腕立てとか腹筋するか。終わったら言えよ」
「はい」

 そうして、いつも通り筋トレを始めた。




 筋トレの終えた後に組手。
 もはや目つぶしも効かず適度にボコられた所でいつもよりも組手を早く切り上げる。

「今日は他の事やりたいからこの辺で終わりだ」
「分かりました。けど、何するんですか?」

 白の疑問はもっともだ。
 なのでとりあえずこっち来いと先導しながら荷物を持って目的の場所に向かう。

「あれは……ウサギ、ですか?」

 近くに小さな川が流れる少し視界の開けた場所。
 そこにいたのは兎だ。
 褐色の毛色の野兎。探せばいるもので、罠にかけて捕まえたやつだ。

「可愛いですね。……どうしたんですかイツキさん、このウサギ」

 ウサギを撫でながら白が言う。
 鼻をヒクヒクさせ、ウサギは白の腕に抱かれていて非常に可愛らしい。

「白」

 それを見ながら、俺は言った。

「肉、食うぞ」




 カバンを開け、中から苦無を取り出す。

「先の事を考えるとさ、サバイバル染みた事とか必要になってくるんだよ。それにまだ結構先の事だけど、もう少し先の事も必要になる。だからさ、慣れとこうと思って」

 レベル一から、いきなりレベル十の事には挑めない。
 なら、一つずつ上げていくのも手だ。
 いや、そもそもこれは今頭の中で考えていることからすればとても下で、まったく別物ですらある。正直、何の意味もないかもしれない。
 けれど、やらないよりはやっておいた方が良いと思う。気休めでも、一上がらずとも、0.1でもいいから上がれば万々歳。その類だ。
 実際は別だろうが、まあいい。サバイバルな知識しか手に入らないとしても、それはそれでありがたい。
 ウサギ肉、美味しいらしいですし。

「あの……イツキさん?」
「ほれ」

 えーと、と若干固まっている白に苦無を渡す。
 何か理解したのか、きゅー、きゅー、とその下でとウサギがじたばたしている。
 
「そいつ殺して食べるぞ。手順なら覚えてきたし、本も持って来てる」

 まあ、出来るなら燻製にしたいけど。

「殺すけど、出来るよな。白」
「???はい」

 白が頷く。
 心優しいけれど、まあ言えばこの位は出来るだろう。
 少しは針を振れさせておいた方が便利だ。
 そう思い、苦無を握る白の手の上から自分の手を覆い被せる。

「とりあえず、暴れられても困るから最初に殺すか。首掻っ切るぞ」
「分かりました」

 血抜きを考えれば生かしたまんま首を斬るのがいいのかもしれんが、初めてだから殺してからでい
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