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翌日の夜、俺は巌戸台分寮の前に足を運んでいた。
昨日訪ねて来た公子――と言うよりはメインは桐条のお嬢様か。
彼女の誘いに乗って特別課外活動部とやらに入ることになったから、その顔合わせのためにここへ来たのだ。
「場所は知ってたし、一回前まで来たことはあるが……入るのは初めてだな」
扉を開けるとラウンジには知った顔が四人、知らない顔が二人いた。
「やあ! よく来てくれたね」
人好きのする笑顔を浮かべて寄って来たのは月学の理事長である幾月。
活動部の顧問が理事長とは……まあ、昨日も聞いてたが、実際に見ると少し驚いた。
「皆――と言っても我々は昨日面識を持ったから、伊織と岳羽だな。彼が新たな仲間として加わることとなった」
自己紹介を、桐条に目で促される。
正直な話……悪い意味で名は知れているからいらないと思うのだが。
「裏瀬だ。まあ、よろしく頼むよ」
伊織と呼ばれたちょび髭と――――ああ、思い出した。
岳羽って岳羽ゆかりか。
弓道部のエースで中々にモテると言う話を誰かから聞いた覚えがある。
彼らの反応は片方は引き気味、もう片方はさして関心がないように見える。
「さて、裏瀬くんには腕章と召喚器を渡そうと思うんだけど……桐条くん?」
「はい。彼はペルソナを出す際に召喚器を用いず、尚且つ安定して召喚を維持出来ているように見えました」
「ふぅむ、有里くんも珍しいけど……彼も中々に変わり種だね。だが、一応渡しておこう」
言うや机に置いてアタッシュケースを開ける幾月。
中身は銀色の銃と赤い腕章、だが銃口は埋められているので本来の用途では使用出来そうにない。
「これで自分を撃つことによってペルソナを召喚するんだ。まあ、君には必要ないかもしれないが一応、ね?」
「そいつはどうも」
まあ、どちらも使わないだろうから部屋の肥やしになるだけだと思う。
「部屋は二階にあるから、後で真田くんに案内してもらうと良い。荷物に関しては――」
「こちらで業者を用意するつもりだ」
「ああ、要らんよ別に。たまに寝に来る程度の使用頻度になるだろうし」
活動することがあるならば、事前に連絡を寄越してくれれば寮に来るつもりだ。
「いやいや、それは困るよ。急用があった時にすぐ動けるようにしなきゃぁ」
「つってもねえ……用事がある時だけ呼び出すだけで十分な気もしますがね」
だったら毎日、23時くらいから影時間が終わるまで寮に居れば良いのでは?
そう提案すると理事長の顔が唸り出した。
「うーん……確かに、それなら……ああでも……うーむ……」
そもそも、影時間外の活動ならば俺など要らないだろう。
桐条のお嬢様が居る以上、人足は簡単に確保出来
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