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れるがままに一緒に寮を出る。
持ち物は携帯と財布、バイクのキーぐらいだ。
「あ、そうだ。小腹空いてない? これあげる!」
差し出されたのは黄色い……大福?
「バナナ大福! 美味しいよ」
「ふぅん……ありがたく頂くよ」
包装紙を取って大福を口に放り込むと、名に違わぬ味がした。
バナナ風味の大福、中身にカットされたバナナも入っていて……不味くはないと思う。
少々甘味が強すぎるので、そう幾つもは食べられそうにないが。
「ところで気になってたんだが、その長い包みは何だい?」
公子の先導に従いダラダラと夜道を歩きながら、気になっていたことを問う。
寮から出る際に彼女は入り口にあった長い包みを持ち出したのだ。
「あ、これ? これはねー……武器!」
「武器ぃ?」
「うん。タルタロスの中を探索する時用のね。あ、裏瀬くんのも買わなきゃだね」
武器……槍よりも女の子が使う武器で長物なら薙刀っぽいが。
シャドウとは武器を持てば生身でも戦えるのか。
あるいはペルソナを所持していることによって、何らかのブーストがかかっている?
疑問は尽きないが、まあ今は良いだろう。
「順平は刀でゆかりは弓。
真田先輩はボクシンググローブ、桐条先輩はフェンシングのアレらしいんだけど……希望とかある?」
二つ目の大福を口に放り込んでいるが、この時間帯にそれはどうなのか。
女だったら多少は気にしても良いだろうに……
「特にないな。いや、そもそもからして要らん。自前で用意する」
「遠慮しなくていいよ? お金はパーティの共有財布から出るんだし」
「遠慮なんざしてないさ。俺に合った武器は中々売ってないだろうしな」
実銃は警戒されるだけだからアウト、改造したガスガン辺りが無難だろう。
アレでも十分な殺傷力はあるし、そこそこ使えるはずだ。
「ふぅん……っと、着いたよ」
道中でモノレールに乗ったりして辿り着いたのは、
「ここは……」
月光館学園、二年になってからはまったく足を運んでいない我が学び舎だ。
「月学? 何でまたこんなとこに?」
「まあまあ、零時になってからのお楽しみ! もうそろそろだし……あ、皆も来たみたい」
声に釣られて視線を向ければ、桐条や岳羽らが此方へ向かって来ているのが見えた。
「――――始まるよ」
時計の針が重なり、影時間へと入る。
「へえ……」
感嘆の声を上げてしまうのも無理はない。
学校が造り変えられて塔となり、空へと突き出していく様は圧巻だ。
この時間のことを知って随分と経つが、何故俺はこれに気付かなかったのか。
街のどこかに居ても月学の方に視線を向ければ気付いただろうに。
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