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メラか何か。
ここを拠点にしない理由が一つ増えた。
「あの、今大丈夫かな?」
扉の向こうから声が聞こえる、これは公子の声だ。
「ああ、良いよ」
「お、お邪魔します」
おずおずと部屋に入って来た公子はキョロキョロと室内を見渡している。
男の部屋に入った経験がないのだろうが、生憎と俺も来たばかりなので私物も何もない。
見ていて面白いものなんて何もないだろう。
「怪我、大丈夫かな?」
「脇腹はな。時折鈍痛がある程度で、それも直に消えるだろ」
腕の方は骨折なのでどうにもならないが。
幸いなことに利き腕ではないので、戦うにしても問題はない。
二本の足と一本の腕、ついでに言えば頭も使えるのだから。
何ならギプスを武器にするって言うのも悪くない。
痛みにさえ目を瞑れば有効な武器だ、鈍器に使えそうだし。
「そっか……ねえ、どうしてその、タカヤって人達と戦うことになったの?」
「プライベートだって言わなかったかな?」
「う……そ、そうだけどやっぱり気になるんだもん」
「不幸な行き違い――って言えば信じる?」
俺の舐めた物言いに少し怒ったのだろう、公子が頬を膨らませている。
真面目に答えてと目が何よりも雄弁に語っていた。
「聞いて楽しいことじゃないから気にするなって答えじゃ駄目?」
「ダメ! だって、その……ま、またそう言うことがあるかもしれないじゃない」
…………ああ、心配してくれているのか。
決着がつかなかった以上、また狙われる可能性があるかもしれないと。
「ノープロブレム。向こうが積極的に狙って来る理由はないだろうよ」
もっとも、こっちから仕掛けるか、連中の不利益になるようなことをすれば別だろうが。
その時はその時で、この間のようなヘマはしない。
一度殺り合った相手に二度も負けるなんて情けないにも程がある。
「で、でも!」
「当事者である俺がが問題ないって言ってるんだ。それに、公子ちゃんらに迷惑をかける気はないよ」
手前の尻は手前で拭く、それが男としての矜持だ。
「それより、だ。聞かせて欲しいことがある」
「私に?」
「ああ。何だって公子ちゃんが現場のリーダーやってんだ? 年功序列――でもないが、桐条が居るだろう」
不思議に思っていたのだ。
何故桐条が指揮を執らずに公子がやっているのか。
「えっと、先輩はバックアップだから」
「バックアップ?」
「そう。タルタロスってゲームのダンジョンみたいなところでナビがないと結構キツイの」
「だから桐条の代わりにってか?」
「うん、それと……私がちょっと変わってるってのもあるかな?」
「変わってる?」
俺からすれば確かに変わった存在では
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