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うな場所があるが……まあ、俺には無縁か。
伊織辺りとここで茶ぁしばいてる光景なんぞ想像出来ない。
俺がよくてもアイツが嫌がるだろうし。
「ここがお前の部屋だ」
「へえ……中々良い部屋じゃん。元はホテルだしベッドも備え付け、か」
仮宿に使う分には文句なしの部屋だと思う。
清潔でそこそこ広い、普通に借りれば割と値が張りそうな気さえする。
「……何のつもりだ?」
パァン! と渇いた音が響き渡る。
それは俺の顔面へ向けて放たれた真田の裏拳を受け止めた音。
「すまない、少し試してみたかったんだ」
何を試したかったのか。
単純な喧嘩の強さなのかそれ以外のことなのか……単純そうに見えて、中々に読み辛い。
「裏瀬、お前は俗に言う不良なんだろう?」
「随分とまあ、単刀直入に言ってくれるな。否定はしないがね」
「ならば質問がある。荒垣真次郎と言う男を知っているか?」
強張った表情のまま問い掛けられる。
荒垣、荒垣真次郎――どこかで聞いた覚えがあるな。
「あー……そうだそうだ。ポートアイランドの溜まり場に居る男だ」
何年か前にフラっとやって来て居座っているらしい。
喧嘩が強く、だが馴れ合わず、俗に言う一匹狼。
一部の群れることで強くなったと勘違いするアホ共から随分と嫌われている男。
何時だったかエスカペイドのカウンターで飲んでいた時にシメてくれとか言われた覚えがある。
アホらしくて今の今まで忘れていたが……何故、真田が?
「それがどうしたんで?」
「……いや、何でもない」
「あっそ。だったら好きに調べさせてもらうとするよ。気になることは放って置けない性質なんでね」
何が未知に繋がるか分からない、であれば広く手を伸ばすべきだろう。
「…………」
真田は無言のまま部屋を出て行った。
脛に傷があるのは真田か、件の荒垣か。
どちらかは分からないが一般的にはあまり面白い事情ではなさそうだ。
「灰皿くらいは置いておくべかねえ」
ベッドに腰をかけるとスプリングの軋む音が耳に届く。
特別課外活動部、これから俺が属する組織。
気になることは多々ある。
影時間とは、シャドウとは……桐条が居るのは偶然ではないだろう。
何からの形で噛んでいることは確かだと思う。
だが、それよりも何よりも気になるのは――――幾月修司。
ちょいと間抜けっぽい振る舞いをしちゃいるが、アレは絶対に腹に一物抱えている。
そしてそれを隠している以上、油断は出来ない。
今この瞬間だってそうだ。
下手な独り言ですら零すことは出来ない。
何だか見られているような気がするのだ。
首の後ろがチリチリするような感覚……恐らくは監視カ
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