暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
BRAVEBALL
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ノリで開催された迷宮区踏破ツアーは当然のことながら準備不足は否めない。
最低限のアイテムは領主達が管理するシルフやケットシーの倉庫、オラトリオのギルド倉庫から貸与という形で揃ったにしろ、何より不足しているのは情報だ。
28層におけるボス情報を手に入れるためのキークエストは検証が始まったばかりで有力なものは無い。

「―――とまあ、そんな中セイン君が出来る限り集めてくれた。それによるとボスの名前は《The crustacea ranging》連なる……甲殻類、か?取り巻きに……ナ、ナウプリウス?」
「多分《ノープリウス》だぜ、サクヤさん。甲殻類の幼生のことだ」

難読なボス名に手間取るサクヤを謎の武器商人兼鍛冶屋のハンニャがフォローする。
シルフ領主は照れ隠しか、頬を掻いてから礼を言うとキリッとした表情に戻って宣言した。

「それではこれより『二次会』を開始する」





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「うわぁ……」

まず女性陣から嫌悪感の声が上がった。目の前に醜悪なモンスターが居れば大体の者がそうなるだろう。
ボス自体は群青色の甲殻を持った巨大蟹で口器からぶくぶくと緑色の泡を出している。通常、一対の鋏は三対――つまり腕は6本あり攻撃範囲は後ろにも及ぶだろう。
その重量を支えるためか前部と後部にも堅そうな甲殻に包まれた足があり、ありがたくない事に前後移動も不自由無さそうだ。

「まずは様子見だ。まとまらずパーティーごとに散開!」

ここで俺のパーティーメンバーの紹介。
俺、セラ、セイン、アルセ、ヴィレッタ、ハンニャ、ルージュの7人。
この攻防近中遠がバランスよく揃ったパーティーの役割は遊撃。個々の戦闘力が高いため、1ユニットで他のパーティーの援護やスイッチの幇助、この場合は取り巻きであるノープリウスの掃討も請け負うことが出来る。

「よし、まずは取り巻きをやろう。ヴィレッタの護衛はセインが、ルージュは俺に付いて来い。他は散開して各個撃破!」

ルージュを伴って戦端が開かれている正面を迂回、ノープリウスが固まっている左側に移動する。
ルージュのメインアームは弓。リアルで昔弓道をやっていたらしく、速射性は無くも狙いはシノン並に正確だった。サブアームのショートボウは例の鍛冶屋謹製『ハーゼ・シーセン』というハイクオリティなものだ。
しかも器用なことにトリガーの堅さは彼のGGOでのサブアーム、トカレフと同じに調節してあるらしい。芸が細かい事。

「ルージュ、弱点はあの頭部の円だ。回りの触手は俺が払う、いけると思ったら撃ってくれ」
「おっけ」

ルージュが矢を取り出すと同時に目標に向かって駆ける。
こちらに気がついたノープリウスは触
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