第13話 現われたのは炎の邪鳥ですよ?
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辛うじて抑え切り、元の火気と、水気に散じて仕舞う。
「あのヒッポウは、あんたの業が招いた存在。それを、あんたがただ見つめているだけで、他のみんなに任せっきりでどうするのよ!」
最初に急降下して来たヒッポウが弾けたのは、白猫のタマが自らの能力で作り出した氷の刃で貫いたから。
そして、それに続く水気の陣は、ハクの傍らに存在する白娘子が構築した対火焔用の防御陣。確かにシノブの言うように今の所、美月は何もして居ない。
しかし、そうかと言って、
「アタシの業が呼び寄せたって、どう言う意味よ!」
自らの性で魔物を呼び出したなどと言われる謂れはない。そう強い口調で問い返す美月。
ただ、心の中では漠然とした不安が存在して居るのも事実。
何故ならば、この一連の流れ。水を得るのも、西から押し寄せて来た砂漠化の阻止も、北の森の侵食に関しても、すべて美月が率いるコミュニティが直面していた課題。
故に、その部分を指して美月の業だと言われたのなら、それは仕方がない。
しかし……。
しかし、美月の事をキツイ、つまり、昨日の出会いから変わらない視線で睨み付けて居たシノブは、美月の業と言う部分には一切、触れる事もなく、
「さっさと弓を出してあの馬鹿みたいな大きな声で鳴いている鳥を落としちゃいなさい。それが、あんたの仕事でしょう」
そんな事はアンタに言われなくても判って居る! ……咽喉まで出かかったその言葉を無理矢理呑み込み、弓を構え、矢をつがえる。
そう。身体に染みついた経験だけで、ここまでの一連の動作は意識をせずとも行う事が出来る。
矢の先端が鋭く天を目指し、弓の反りと弦の張りが力強く開かれて行く毎に、血が昇り掛けた頭が冷静に成って行くのが判る。
弓と弦が矢束いっぱいに張り詰める。
そして、張り詰めた力が美月の両腕の間で弾けた瞬間、鈴が涼やかな音色を奏で、微かな光の軌跡が矢の通った空間を指し示す。
しかし、それでは足りない。昨日、放った一矢に比べたら、それはまるで別人の一矢。
「あんたの矢は、本来、天上の楽を奏で閃光に包まれた破魔の矢を放てるはずよ!」
何故か……。いや、間違いなく美月本人の事を知って居る者の口調で、そう怒鳴りつけて来る破壊神の少女シノブ。
ただ、今まで美月が放った矢で、閃光を放ったのは昨日の矢が初めて。当然のように、鈴の音が奏でられたのも昨日が初めての事。
そんな事を何故、彼女が――――
そう美月が考えた瞬間、上空より急降下して来たヒッポウが炎を放つ。
その瞬間、美月たち以外に燃える物ひとつ存在しない大地に数本の火柱が屹立していた。周囲を灼熱に変え、火柱は見る間に砕け散り、無数の火の粉に姿を変えながらも美月
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