第四話
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「見張りがいない……」
部屋に見渡したが、兵士の姿はない。
さすがに見張りの一人や二人はいるの踏んでいたが、誰もいないとなると確実に罠だと言い切れるだろう。
しかし、ここまでくると革命軍は逆にこれを罠だと思わせようとしてるのではないだろうか。だとしたらなぜそんなことをするのか、まったく見当がついていなかった。
「どうしてこんなことしてるんだろうねぇ。こんなの罠だって見え見えじゃないか」
「そうですね……わざとこっちに気づかせようとしてるのかもしれません」
「でも、どうしてそんなことをするんですか?」
「……」
「おい! こっちだ早く助けろ!!」
気がつけば、牢屋の中にいる妖怪たちが鉄格子をがたがた揺らしながら救助を要求していた。
考えていても意味はない。俊司はとりあえず妖怪たちを牢屋から出すことにした。
「けっ、あいつらへんなとこに詰め込みやがってただじゃおかねぇ」
「地霊殿に捕らえられてた妖怪たちも一緒にいたんですね」
「おい!あいつら皆殺しにするぞ!」
「おう!!」
よっぽど頭に血が上っていたのか、牢屋から出るなり妖怪たちは兵士を殺しに外へ出ようとする。
そんなことをしてしまっては、いままで犠牲者なしでおさえてきた意味がなくなってしまう。映姫には悪いが、俊司は奥の手を使うことにした。
「別に暴れてもいいですけど、ほどほどにしておいたほうがいいですよ」
「ああ!? てめぇみてえなひよっこが口出ししてんじゃねえ!」
「上に閻魔様がいらっしゃるので」
「……」
閻魔様といった瞬間、妖怪達の動きが止まった。
閻魔様は死んだあとの行き先を決める裁判官だ。ここで変なことをしてしまえば、あとで地獄送りになる確率も高くなる。それに、幻想郷を担当している映姫は、休日幻想郷に出向いては説教を行うなど、妖怪達にとっては非常にいい思い出のない相手でもある。ここで余計なことをしてしまっては、また変な説教をされかねない。
血の気の高い妖怪達にも、そこらへんの判断はできるみたいだった。
「ま……まぁ、少しは手加減してやるか」
「映姫様の説教は長いからねぇ」
「ははは……」
「とまれ!」
一息ついていたのもつかの間、救出のタイミングを見計らってか革命軍の兵士たちが続々と中に入ってきた。
妖怪達はどよめいていたが、もともと罠だと確信していた俊司達はまったく動じていなかった。
「おい、どういうことだよ!」
「もともと罠だったんですよ。ここに来るまでも見張りはいませんでしたから」
「罠って……お前らわざと罠にはまったのかよ!」
「だからなんだってんだい?」
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