クトゥグアとの戦い T
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えるしか無かった。
灼熱、という言葉でさえも足りない程の熱量。生物であるならば、近づいただけで蒸発するような炎を前にして、しかし護堂は重傷を負っていなかった。服は所々が焦げ、破れているが、彼の体にはカスリ傷程度の傷しか存在しない。
これには、流石のクトゥグアも、目を細める。
『貴様は、我が宿敵を弑逆した筈。アレは、我とは最悪の相性だったのに、何故貴様はその程度のダメージしか受けんのだ・・・?』
確かに、カンピオーネの権能とは、元々の神が持っていた権能の性質から外れることもあるのは彼女も知っていた。その人間の性質に引っ張られ、権能自体が変質するのだ。例えば、彼女たちは知らないが、ドニの第三の権能いにしえの世に帰れも、かなり変質した権能である。なにせ、発明の神とも呼ばれるウルカヌス神から簒奪した権能が、『半日ほど文明を中世レベルにまで後退させる』という、全く真逆の権能に変化したのだから。
倒した神が分かっても、権能の詳細までは分からないという代表的な例であった。
そのことから考えても、護堂の権能は随分と変質しているようである。原作で天敵とされているクトゥグアの攻撃を、ほぼダメージなく防ぎきっているのだから。
『だが、だからといってここで止めるわけにもいかん。どれ、我も攻撃してみるか。』
「チィ・・・!」
クトゥグアが始めて、自らによる攻撃の意思を示したことで、護堂は舌打ちをした。
クトゥグアが右手を空に掲げると、瞬時に直径1kmにも及ぶ巨大な炎の塊が出現した。その塊の色は・・・蒼。彼女の手から、蒼炎とも呼べる色の炎の塊が投げられたのだ。色温度に当てはめれば、蒼炎は16000k・・・つまり、約18000度である。
そもそも、ファンの間では『クトゥグアはフォーマルハウトに封印されている』、という説が一般的ではあるが、『フォーマルハウト自体が、姿を変化させられたクトゥグアである』というファンもいる。
つまり、クトゥグアは恒星と同程度の質量を保有しており、その大きさは、クトゥルフ神話の中でも五本の指に入るほどだという説だ。そんなぶっ飛んだ設定を持つ彼女にしてみれば、蒼炎を出すことなど容易い。太陽の三倍以上の熱量。出現した瞬間に世界を滅ぼしそうなその蒼炎が、護堂に迫っていた。
「クッ・・・!」
護堂は焦る。流石に、今の状態でアレを喰らえば敗北は必至。だとすれば、避けるのが最良であるのだが・・・炎の精とフサッグァがそれを許しはしない。
ならばどうするか・・・?
「我は無貌なるもの。何者でもなく、全ての闇に潜むもの。混乱と恐怖、怒りと絶望。全てを糧として我は嘲笑う。全ての人の子よ我を畏
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