暁 〜小説投稿サイト〜
少女1人>リリカルマジカル
第四十一話 少年期【24】
[8/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
なった時にしか活躍しなかったらしい。あんまりな安全すぎる使用用途に、ちょっと同情してしまった。

『では、先ほどの魔方陣は?』
『あれはもともとあった己の機能が、久々に触れた魔力に暴走してしまったようだ。昔はマスターの魔力で機動できていたが、それがなくなって何千年。魔力に飢えておった』

 先ほどから古代ベルカ時代の物なのに、流暢にミッドチルダ語を話すと思っていたけど、その原因はやっぱり俺だったらしい。辞書としての役割があったとしても、何もすぐにどんな文字でも翻訳できたわけではなかった。ではどうするのか。その答えは、さすがは夜天の書と同じ古代ベルカの産物、つまり人から蒐集するのだ。

 といっても、闇の書みたいに人体に危険はない。ちょっとした気持ち悪さはあるかもしれないが、それだけでその人物が持っている言語知識をインストールしてしまうらしい。ある意味とんでもない物を作った人物だ。最も彼のマスターは、迷子のたびに夜中の寝静まった家に侵入してインストールしまくっていたらしいので、不便だと口にしていたようだが。ツッコミどころがありすぎるマスターである。

 今回はそのインストールの際、俺の魔力も一緒に蒐集してしまったとのことだ。彼が吸収する知識は脳からではなく、リンカーコアに刻まれた記憶を読み取るもの。本来は魔力まで取らないのだが、欠乏状態だったため暴走してしまった。

 これはコーラルが助けてくれなかったら、動けなくなるぐらい吸われていたか、最悪死んでいたかもしれないのか。彼の言葉を信じるならヴェルターブーフに悪気はなかったのかもしれないが、その事実にヒヤリとするしかない。完全に油断しすぎていた。

 だけど俺はそのおかげで一瞬だけだが、『アレ』を実際に感じ取ることができたのか。ヒュードラの事故の時に、俺の意識を塗りつぶそうとした何か。忘れていたわけではないが、実質どうやって対処すればいいのか見当がつかなかったもの。それを冷静に分析できたのは、間違いなく収穫だった。

 あのドロドロした感じは、規模は違えど最近体験した出来事と重なった。運動会の風物詩であるぷにゅを掴んだ時に感じた、あの感覚と似ていたのだ。あれはおそらく、前世の自分が残してきてしまった「傷」なのだと直感した。


「あぁ、もう。色々ありすぎて、頭が痛くなってきた。それでぶっちゃけた話、お前はどうしたいんだ? 不可抗力とはいえ、目覚めてしまったんだし」
『己が決めていいのか』
「自分のことなんだから、当たり前だろ。まぁあんまり好き勝手はできないだろうし、原因の俺が言うのはおかしいのかもしれないけどさ」

 言っておきながら、本当にどうしよう。こいつの話を信じるなら、ただの辞書に何かできることはない。でも古代ベルカの魔導書であるのは間違いないのだ。ロストロギ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ