第四十一話 少年期【24】
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てしまっていた。
『申し訳ありません。今のはおそらく設置型の魔方陣です。……油断していました』
「いや、こっちこそありがとう。しかし設置型って、確か特定空間に進入したものを対象にした魔法だよな」
『えぇ。高位の術者なら痕跡を気づかせないように隠蔽もできるため、罠として非常に有効な手段です』
「罠…」
つまり俺は見事に罠に引っかかったということか。聞いてねぇぞ、こんなトラップ。ちょっと調べたが、今のところ特に身体に異常はない。侵入者用の罠でこの程度で済んだのだから、かなり幸運だったと思うべきか。魔力を吸い取られただけだったみたいだし……ん?
「なぁ、コーラル。俺の吸われた魔力ってどこにいったんだ?」
『え? そうですね。吸収型の魔法だったのなら、それを発動した術者の魔力へと還元された可能性が高いでしょう。しかし、ここには生き物の気配は……』
「……確か魔法の発動って、基本術者の足元に魔方陣が展開されるよな。つまり俺の魔力は―――」
お互いに嫌な予感が頭の中をよぎる。ここに魔導師の存在は感知されない。なにより何百何千年と誰の出入りもなかったかもしれない場所なのだ。だけど、魔法は発動された。さっきの魔方陣の中心点はどこだ。さっきの魔方陣の色は何色だった。
『話は済んだか』
ものすごく、振り向きたくない。俺ともコーラルとも違う第3者の声。俺、もしかして盛大にやばいことしてしまった? 部屋の中央から響いてくる機械的な音声。恐る恐る振り返った先にそれはあった。
鉛色をした金十字の本が、台座からふわりと浮きあがっていた。
『随分長く眠っていたようだ。ふむ、なるほど。供給された魔力は少年のものか。この言語と知識、ふむ、この場所、またなんとも』
独り言をぶつぶつ言う本に、俺は背中に嫌な汗が流れる。供給された魔力ということは、完全に俺がこの事態を招いてしまったということだ。俺は横目でコーラルとコンタクトを取り、すぐにデバイスを起動させる。本から目を離さないように、俺は口を開いた。
「お前は……魔導書なのか?」
『ん? ふむ、魔導書と言われればそうかもしれんし、違うとも答えられる。己の役割はマスターの願いをかなえる為だった故にな』
「マスター? それってデバイスだったということか」
『ふむ、デバイスであったかとも言われれば、それも難しい。己の力は用途が限られていたため、マスターがここぞという時に使用していたぐらいだった』
素直に質問に答えてくれるみたいだが、言い方が回りくどい。向こうももしかしたら、こちらと同じように会話から情報を得ようとしているのかもしれない。もしくは未だに混乱しているのかも。何千年も発動されなかったのなら、不具合が生じてもおかしくないだろう。
時間はかけな
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