第四十一話 少年期【24】
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間に何かメモ用紙の様なものが挟まっていたことに気づいた。
「ん? なんか挟まっているのか」
『ますたー、これ以上近づくのはやめて下さ―――』
見つけたものが気になったために、前方へと傾けてしまった身体。コーラルの注意に慌てて戻そうとするが、歩幅1歩分ほど前に出てしまう。
そして、それは起こった。
「―――……ッツ!!」
台座に置かれた本と同じ色の魔方陣が、突如俺の足元に現れた。あの本から俺の足元まで展開された巨大な魔方陣。それを認識した瞬間、頭の中が一瞬真っ白になった。次に感じたのは、身体の中を何かが這うような気持ち悪さ。
コーラルの声が後方から聞こえてくるが、何を言っているのかわからない。身体から何かが抜けていくような感覚。徐々に重くなっていく身体と胸の痛みに混乱するが、どこかでこれと同じ体験をした気がすると妙に冷静な部分が俺に訴えてくる。そんなに昔じゃない。たぶんまだ最近のことのはず。
……そうだ、これは運動会の時の徒競走だ。無理な魔法展開でリンカーコアからずっと魔力を消費させていた時の感覚と似ている。あの時は魔力の減っていく量が少なかったから、疲れとして表に出た。だけど、小さな胸の痛みと身体の重さは確かに記憶にあった。
つまり今の俺の状態は、魔力が減らされている。いや、魔方陣に吸われているのだ。それも不調を訴えるぐらい急激に。その恐怖に、胸の痛む場所よりもさらに奥にある何かが刺激される感覚を覚える。溢れ出してくる何かが、俺の意識を塗りつぶそうとした時。
『ますたァーー!』
「ッ、グホォッ!?」
カッコーン! と気持ちいいぐらいの音が部屋に響き渡った。体調不良中の俺が次に受けた衝撃が、額への突進攻撃だった。石頭の自覚はあったが、さすがに真正面から石が激突したら泣くほど痛いに決まっている。さっきまでの胸の痛みやらなんやらが全部吹っ飛ぶぐらい、俺は額の痛みに悶え続けた。
「お、おま、おまッ……」
『……き、緊急事態だったということで!』
「わかっけ、ど、ちょ、いっ、痛ッ……」
『ほ、ほら衝撃のおかげで魔方陣から出られたのですから、結果オーライです! けど、ごめんなさい!』
緊急だったとはいえ、さすがに手加減なく全力で頭突きされたら泣く。コーラルを怒るつもりはないけど、素直に感謝できないぐらい、今までの人生で5本の指に入るほどの激痛だった。それは向こうもわかっているのか、明らかにやっべーみたいな焦りようであった。
そして本当に数分ぐらい悶え続けてしまったが、なんとか復活。絶対真っ赤になっているだろう額に手を当てながら、俺はようやく体勢を整えて息をついた。痛みで一瞬忘れてしまっていたが、さっきのはなんだ? 下を見ても、すでに展開されていた魔方陣は消え
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