第四十一話 少年期【24】
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感じねぇんだけど。ハートフル美少女砲撃ストーリーはどこにいった。
「なんでもない。……もうちょっとだけ、歩いてもいいか」
『それは構いませんが。えっと、その…』
「本当に大丈夫だから。うん、大丈夫」
これからのことに憂鬱になりそうだが、どうしようもない。若干現実逃避も交えながら、俺はズンズンとドーム状の通路を進んでいく。俺にできることはまだまだある、と自分に言い聞かせ、探検で気を紛らわせる。先行きが見えない不安がふと顔を見せるが、俺はそれを振り払うように暗がりの通路の奥へと足を進めていった。
原作を壊したのは俺なのだから、それに嫌われても仕方がないと心のどこかで俺は思っている。俺自身が作り出した不透明な未来を深く考えれば、いくらだって不安は膨れ上がった。だけど大丈夫だ、と自分に言いながら前を向いて歩き続けるしかない。そんなちっぽけな俺のちっぽけな歩み。
だから不安はいつでもあった。見えない糾弾者が実はいるんじゃないかと勝手に考え、怯えてしまう時もあった。だけど、こんな俺を応援してくれるような……見えない変わり者も実はいるのかもしれない。そんな風に思わせてくれたきっかけと、この無限書庫の先で俺は出会ったのだった。
******
「ここが一番奥か?」
『確かに行き止まりのようですね』
トンネルのような道を抜けた先は、これまた大きな円形の大部屋だった。周り全てが本に囲まれており、コーラルの言うとおりこれ以上進める道はない。無重力を飛んでいたためそこまで疲労は感じなかったが、どうやら最深部まで来てしまっていたようだ。
前世のゲームとかなら、まさにお宝やボスがいそうな空間である。そしてどうやら、このミッドチルダにもそういうお約束がちゃんとあったらしい。部屋の中央に石で作られた奇妙な台座が置かれている。その上には無限書庫らしいお宝だろう、青みをおびた灰色の本が安置されていた。この空間に溶け込むような鉛色の背表紙に金の十字架を持つ、1冊の本。
「……いかにも重要な本ですって雰囲気だな」
『あの本の装飾についている十字架。おそらくベルカ由来の本で間違いないでしょう。一応、魔力反応は感じられませんが…』
「なんだ、重々しいからすごい魔導書か何かかと思ったのに」
『本当にそうだったら大変ですよ』
そりゃそうだな、とコーラルの言葉に俺は小さく笑った。古代ベルカ時代の魔導書なんて、ロストロギア扱いされてもおかしくない代物だ。さすがにそんな物騒なものに関わるつもりはない。
俺としてはそれなりに満足したので、もう帰ろうかなという考えが浮かぶ。なんだかお宝っぽい本も見れたことだし。俺は思い出として、もう一度本を目にじっくりと焼き付けておく。遠目から本を眺めていたら、ふとその本の
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