第四十一話 少年期【24】
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「……こりゃまた」
『大きいですね…』
転移を使い、隠し扉の先で俺たちが見たものは、巨大なドームのような場所だった。
俺たちがいるのは、半球のような形をした通路の中。まるでトンネルの中にいるような感じだが、上から差し込んでくる明かりのおかげで周りが照らされている。この無限書庫のどこに光源があるのかはわからないが、どうやら天井のガラスから微かに明るい光が入ってきているようだ。それでも多少薄暗いが、その闇と光の映り具合がこの部屋をより神秘的なものにさせていた。
俺はこの部屋の広さと光の輝きに目を奪われていたが、我に返って通路の中を見渡してみる。するとこの中は先ほどの点々と美術品が置かれていたフロアとは違い、どこか小奇麗な印象を受けた。ここには高価そうなものや光物は一切なく、ただずらりと石造りの壁に本棚が並んでいる。横幅も高さも奥行もかなり広い。奥は薄暗さから先がよく見えないが、それなりにありそうだ。
「なんだか秘密の場所って感じだな。さっきまでは美術品も本もバラバラに放置されているような感じだったけど、ここは誰かが手を加えて大切に保管していたような感じだ」
『その表現はわかる気がしますね』
俺たちはきょろきょろと周りを見回しながら感想を言い合う。それにしても、やはり生き物の気配は一切しないし、静かなものだ。俺はコーラルに少し奥に行ってみよう、と声をかけ、光と闇の中を進みだしてみた。天井のガラスの色が違うところがあるのか、時々赤や黄色や虹色のようなコントラストが映し出されるところもある。素直に感動できる美しさだった。
おそらくここに保管されている本も、古代ベルカ語なんだろうから俺には読むことができない。それでも、ここには何かがありそうな雰囲気がある。もし古代ベルカの文字が読めるようになったら、また見に来てもいいかもしれない。何かすごそうなことがここの本には書かれているかもしれないしな。
「……って考えてたけど。なぁコーラル、そういえば古代ベルカ語ってどこで習えるんだ?」
『それは……えっ、ますたー。まさかどこで習えるのか考えていなかったのですか。あれだけ古代ベルカ語を使う気満々なことを言っていて』
通路を進みながら考え事をしていたら、そういえばと思い疑問を口にする。闇の書は古代ベルカ時代の遺産だから、調べるなら当然大昔まで遡らないと、と考えていた。だからベルカ語だけでなく、古代ベルカ語まで覚えるつもりで普通に思っていたのだ。そんな俺の考えに、コーラルは呆れたような感じで言葉を返した。
「う、うっさい。ベルカ語だってまだまだなんだぞ。だから古代語なんてもっと後だと思っていたから、あんまり考えていなかったんだよ。正直学校で習えるかなって思っていたら、そんな授業なくて、若干どうしようか悩んでいた
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