第四章
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して艦に戻った。
艦に戻るとすぐに艦長から声があった。食事はどうするのかと。
「食事!?」
「はい」
見ればまだ四時半である。彼は時計を見て首を傾げさせた。
「早いのではないですか?それとも準備ですか?」
「いえ、今から食事ですけれど」
だが艦長はこう答えた。
「今から」
「はい、自衛隊の夕食はいつもこの時間なのです」
「四時半に」
「時間でそう決められていまして。どうされますか」
「そうですね」
彼はここでさっきサンドイッチを食べたことを後悔した。
「今日はいいです」
「そうですか」
「先程サンドイッチをいただきましたから。お腹がふくれていまして」
「わかりました。ではいいですね」
「はい」
こうして彼はそのまま部屋に戻った。そして本を読んだ後でまたファイルに目を通した。その後でノートとペンを取り出し何かを書きはじめた。メモの様であった。
時折ファイルを見ながら書いていく。そして何やら色々と考え事をしているようであった。
それが終わるとノートもファイルも閉じてしまった。そして懐からまたタロットカードを取り出した。今度は二十二枚全てであった。
タロットは大アルカナと小アルカナの二種類がある。彼は今回そのうちの大アルカナ二十二枚を持って来たのである。これはタロットカードの中でもよく知られているもので占いでもこちらを使うものがポピュラーなものとなっている。
彼はそれを取り出すと机の上に置いた。そしておもむろに言った。
「行け」
それを聞くとカードは一斉に舞い上がった。そしてそれは部屋の扉を潜り抜けて艦内へ出て行く。その瞬間に放送が聞こえてきた。
「消灯」
海上自衛隊では消灯は夜の十時である。それ以後は当直員以外は休息に入る。丁度真っ暗闇で赤い非常灯以外の光がなくなった艦内をカード達が舞って言った。
速水はその間身じろぎもしない。ただ机に座っているだけである。そしてそこで何かを見ていた。
「ふん」
タロットが舞うところが彼には見えていた。そしてそれは二十二あった。彼はその二十二の光景を頭の中に全て見ていたのである。それで艦内を見回っていた。
だが何もなかった。とりあえず彼の欲しい情報はそこにはなかった。彼はそれを確認して今度は甲板を見ることにした。
カード達は今度は甲板の上を飛び回った。艦橋部分にも向かう。こうして今度はその辺りを見回った。
するとそこであることに気付いた。それは艦首部分にあった。
深い紫の世界の中であった。彼はそこに出て辺りを見回した。
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