暁 〜小説投稿サイト〜
弱者の足掻き
六話 「波の国」
[9/19]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の、本当にそんな……」
「好きにしな。一つ十だ」

 それ位ならおつりがくるぐらいだ。最後の五分下げたのは白の御蔭だ、まあいいだろう。
 白の髪を纏めている今の紐は業務用的な感じの紐なので、そのままというのも忍びない。
 それに後々の為に、好感触を得ておくのも必要な事だ。
 ジジイに近づいて幾つか分払う。

「確かに。……兄ちゃん。あの子、お前さんの連れだろ」
「え? い、いや、そんな……」
「気にしちゃいねーよ。むしろよくそこまでするって清々しく思うくらいだ。面白れぇ、また来な。次の時はもっと上手くしろよ。ガハハハ!」

 あれだな、意外と気さくなジジイなのかこのジジイ。まあ偏屈ジジイだが。
 白を連れて外に出、先ほど白が見ていた髪留めを取る。一つだけではさびしいので、もういくらか適当にシンプルなものも。
 それを手に、白に近寄る。

「業務の紐じゃあれだ。ちょっと動くな」
「え、あのイツキさん?」

 白を無視し、そのまま後ろに回り込んで紐を外す。うん、髪さらっさらやな。何この感触。何この差。
 そう思いつつ、適当に髪を纏める。

「うし、これでいい。さっき白が見てたやつだ。安いから気にするな。浮いた分の方が多いから」

 少し離れてみるが、特に問題はない……と思う。髪とか結んだことないし。
 白は少し困ったような、それでも嬉しそうな笑顔を浮かべる。

「その……ありがとうございます」

 うん、どこから見ても女の子だよねこれ。色々間違ってる。
 これで好印象なら、安い物ですよ。ないだろうけど、愛想つかされちゃ困りますし。

「じゃ、適当に回るかー」





 段々と辺りが暗くなっていく中、俺と白は集合場所に戻っておっさんと合流した。

「戻りました」
「おぅ。何か買ったみたいだな」
「饅頭とお茶買いました」

 袋を渡す。

「僕たちはもう食べたのでどうぞ」
「ありがとよ。饅頭貰うぞ」
「はい。僕たちは温かいの食べたので」
「……珠葉澄の件でチャラにしてやる」

 微妙な表情で一気におっさんが饅頭を食う。

「ふん、美味いな。……それと、髪留めも買ったのか」
「はい。イツキさんに買ってもらいました」

 笑顔で白が報告する。買ったかいがあるという物だ。
 そうか、とおっさんが頷く。

「そっちの方はどうだったんですか?」
「とりあえず適当な空き家があったからそこを借りた。良さそうならそのまま買うつもりだ。かなり安かったしな。歩くぞ」

そういい、歩き始めたおっさんに付いて歩き始める。

「どんな家なんですか」
「そこそこの広さで、元々は誰か住んでたらしい。どっか移ったんだとよ。それで最低限の物は残ってるっつうから、なさそう
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ