第五十六話 決死の覚悟
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「な、何をしている!あの機体を止めんか!?たった二機の敵が何故止められん!!」
ダイダロス基地の司令部でザフトの同型MS二機が映されていた。その二機は敵艦二隻から距離がある中で突出して連合の部隊に次々と襲い掛かる。その様子を見ていたアズラエルは声を張り上げる。
「何故だ!何故止めれん!?性能差がそこまであるというのか!」
悲痛を含ませながら映像に映る敵を見て止めるように叫ぶ。しかし、MS隊はおろか、大型MAの部隊でもあっさりと撃ち落とされてしまう。
「グッ……基地を放棄する!レクイエム発射後はこの基地を自爆させるぞ!」
「味方はどうする気ですか!?」
アズラエルの発言に驚愕する司令官。だが、この場における最高指揮権はアズラエルが握っていた。
「どうもこうも、切り捨てるに決まっているだろう!たった二機の足止めすら満足に出来んのだ!その程度の戦力ならば必要あるまい!」
この場にいた実直な一部の連合兵達は自分たち味方に対してそのような事を言うアズラエルに愕然とする。だが、殆どは自爆に巻き込まれるわけにはいかないと自己中心的な考えに至り、脱出しようと行動に移す。
「敵はコロニーレーザーとこのレクイエムにしか攻撃を仕掛けられていない。なら中継点の方は確実に予定通りにたどりつくということだ。レクイエムの発射をタイマーに設定しろ。砲撃の五分後に基地ごと自爆させる」
焦っていた連合兵達はこの言葉を聞いて意味を理解する。自分たちも脱出できるのだと。残されるのは現場で戦っている何も知らされていない人員だけなのだと。
「なに――――プラントを落とせれば残ったアルザッヘル基地でも十分やれる。当然、君達のそこでの席も用意してやろう。喜びたまえ、戦後の君たちはプラントを討った英雄として祭り上げられるのだからな」
その言葉に彼らは全員が基地を自爆させることを了承する。英雄として祭り上げられるなら数はいっそ少ない方が良い。そういった利己的な判断から彼らは今もなお戦い続けている仲間をあっさりと売り渡した。
「――――了解しました。第一中継点到着と共にレクイエムを発射。その五分後、基地を自爆させるように設定します。各員、脱出準備を整えろ!」
基地の司令官も同意を示したことで司令部は脱出の為に動き始めた。
◇
「見つかったか――――」
アスラン達はレクイエムの試掘坑近くまで来て、敵に発見される。
『こんな深部に敵だと!?』
『クッ、増援を要請しろ!』
やはり敵にとってもこの遭遇は予想外のものだったのだろう。焦った様子がアスラン達にも分かった。
「ルナマリア、そのまま突破しろ!ショーン、ルナマリアの援護は任せる」
『アスランは如何する気ですか!』
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