マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
BANQUET
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
むしゃ頬張っているリズに対し、シリカは切り株を椅子代わりにして上品に腰かけている。
ピナでさえ地面に降り立ち、キチンとお座りして肉を食べているのに、お前ってやつは……。
「リズさん、せめてあぐらをかくのは止めましょうよ……」
「むぅ……分かったわよ」
シリカの隣の切り株にどっかり腰掛けるとまたもや自棄食いに戻る。肉を取りに来たシリカに事情を尋ねれば……
「ああ……それは、アレです」
ひょい、とシリカが指を指した方向には……
「はい、キリト君。あ〜ん」
「あの、アスナ……少しは人目を……」
「はい、アー君。あーん」
「ん……(モグモグ)……おいしい」
「カ・イ・ト、あーん♪」
「いやですよ!?」
絶対不可侵のリア充結界が展開していた。
さらに視線をスライドさせれば……。
「あの、セインさん!これ、良かったら食べてください!」
「あ、ずるい!あたしのも!」
「私のも!」
「私を!」
「え?え?ちょ、ちょっと待って……!?」
イケメンがこの場の多くの男性を敵に回していた。ちなみに、ロイドやルージュの回りでも似たような現象が起きている。
「なるほど、売れ残ってる訳か……」
「うがぁーーー!!!!売れ残りとか言うなッ!!」
「うぅ……売れ残り……」
リズの投擲してくる串を避けつつ、シリカを慰めるという離れ業をしていたその時、
「あ、レイ!見つけた!」
ぴょん、と跳んでやって来たユウキはその勢いのまま体当たりしてきた。
「……っと、危ないだろ。やめろよ」
「はーい」
分かってないな、こいつ……。かわいいから許すけど。
「で、どうしたんだ?」
「えっとね……はい」
割り箸でひょいと肉をつまみ上げ、俺に向かって突き出す。
「はい。あ〜んして」
ユウキがちらちらと脇へ視線をやっている先を辿っていくと、そこには「そうそう。その調子!」みたいな仕草をしているアスナ、シウネー、ホルン、アルセ……後サクヤ、アリシャの領主コンビが心底面白そうに様子を伺っている。
(思いっきりダシにされてるぞ、ユウキ……)
というか後方の鍛治屋。今バキッとか音がしたんだが……なぜ怒る。物に当たるな。
「レイ……?」
「あ、ああ。悪い……ん」
身長差があるので少し前屈みになって肉をくわえて食べる。
ユウキがわざわざ焼いて持ってきてくれたのであろうそれは……まあ少し焦げていたが、おいしかった。
「おいしい?」
「うん。おいしいよ。……ほら、ユウキも」
「え、ええ!?い、いいよ……あむ」
食べるんかい。
__________________________________
その
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ