暁 〜小説投稿サイト〜
弱者の足掻き
五話 「才能の差」
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波打つ水が風情を思わせる。
与えられる力に対し小さく振動し、表面を僅かに振るわせながら動く出していく。
その動きは時間と共に少しずつ大きくなって行き、僅かな間に小さな渦を巻くように流れが生まれる。
時折乱れた力の影響を受けチャプン、と小さな音とともに小さな飛沫が上がりまた渦に呑まれる。

「これでいいんですかイツキさん?」

小さな膜一つ隔てた先で起こるその渦は綺麗な真円を描くものではなく、その制御の拙さを思わせる様に歪さを残している。
その歪を受け、膜が所々から伸びては縮み伸びては縮みを繰り返しそれ全体を小さく揺らす。

「? ……すみません、どこか間違っているんでしょうか……」

揺らされたそれは、落とさないために掴んでいる小さな手の中でその動きを制限され水の運動へと変わって行く。
小さく、日の光を浴びているのか疑いたくなるようになめらかで白く柔らかい手に包まれたそれは一見なんの力も加えられていないようにも見え、ひとりでに動いているかのようなそれは生き物のようにも思えてしまう。
とても細く、力をかけたら折れてしまいそうに思える指はとても柔らかそうで、白く透き通るように思えながら薄い肌色を伴った肌はそれの弾力を受けながらも覆い、切り整えられ光を僅かに反射し透明感を持つ爪が健康的な自己主張をする。

「あの……やっぱり間違っているんでしょうか? ……ごめんなさい……」

小さな生き物を両手で柔らかく持つ子供。
それも中性的な顔立ちを持ち、ある種の“美しさ”を既に持ちながら幼さを同居させる顔立ちの子ども。
病気を連想させるのではなく儚さを思わせる様な白い肌に桜色の唇。寒さに少し濃い桃色を浮かび上がらせる頬。柔らかい眼差しに長めのまつげを持った子供。
その二つは一つの絵の様。カメラが手の内にあれば思わずシャッターを切るだろう。

「ごめんなさい。 直ぐ教えられたとおりにやります」

雪の道を歩き、白い背景を背に映るそれはまるで???

「直ぐにちゃんとやります。 だから―――」
「何か言えボケ!!」

???美しい幻sゲボあfgbヴぁfっふぁf!?

気が付いた時には腹部に鋭い衝撃。
その衝撃の突き抜けるまま雪の上にダイブする。否、させられた。

ゴロゴロゴロゴロ。

痛みのままに雪の上を転がってしまう。意外に雪が薄いせいで転がるたびに地味に痛い。

「????カ、ハッ。……あ。……か……ぁ」
(????〜〜〜っ!? 痛いよこれ!? ちょ、息が……)

一切意識していなかったところに入ってきた衝撃で息が上手く出来ない。
必死で呼吸の仕方を思い出して行う。

ひっひっふー、ひっひっふー。
………

(ってこれラマーズじゃねぇか!! ……鳩尾入ったってこれ絶対。ってか)

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