第二章 [ 神 鳴 ]
十五話 娘
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を慕っておるのです。心配するのも仕方の無い事」
「…そんな事言われたら何も言えなくなるんだけど」
「それはそうと今回も七枷殿に助けられましたな。本当にありがとうございます。我がもっと力の有る神であれば」
そう言って申し訳なさそうな顔をする。
「気にする事じゃないし、僕には僕の、岩さんには岩さんの出来る事出来ないことがあるんだから」
岩さん。本名は猪飼 岩暫(いかい がんざん)。本人が言ったように神だ。石の神で石や岩なんかを操ったりできる。でも守ることには長けているんだけど戦闘そのものは苦手らしい。メンズショートの白髪、瞳の色は黒い。小柄で見た目は12,13歳位。灰色の着流し姿で首に赤いマフラーの様な物を巻いている。
「そうです岩暫様。我々は貴方にも救われているのですよ」
村長の言葉に周りに居る村人達も首を縦に振る。
「皆の者ありがとう」
岩さんは難しく考えすぎなんだよね。…僕が気楽すぎなのかな?
「それじゃ僕はそろそろ家に帰るよ。あの子も待ってるだろうし」
「すみません、引き止めていたようで」
「早く戻ってあげてください。きっと待っていますよ」
そんなやり取りをしていた僕の背中に突然何かが降って来た。
「お帰りなさい、お父様」
僕は背中の方に視線を向ける。そこには少しウェーブのかかった綺麗なロングの金髪をした5,6歳位の少女が笑顔で紫色の瞳を向けていた。膝下までの紫色のパフスリーブのレトロワンピース、腰の後ろにはリボンベルトが巻かれ(ちなみにこの服は僕が作った物だったりする)頭に赤い細紐でリボンをした白色のナイトキャップを被っている。
「ただいま、紫いい子にしてたかい?」
「私はいつでもいい子よ♪」
そう言ってニコニコ笑う。そして急に背中から居なくなり、今度は僕の目の前に降って来たので抱っこする形で受け止める。
「それじゃぁ帰ろうか。皆また明日」
「はい、おやすみなさいませ。七枷様」
村長達と挨拶を交わし紫を抱きかかえながら家へと向かう。
「さて今日は何を作ろうかな?」
実はあれこれ悩んでいて結局作る物が決まっていなかった。そんな僕の台詞に紫が反応する。
「ふふん、今日は私がもう作ってあるんだから」
得意げにそう告げてきた。でも1つ重大な事がある。
「紫が作ったの?もしかして1人で?」
この子にはまだ料理をさせたことが無い。聡い子ではあるけどさすがに1人じゃ無理な筈だ。
「もちろん!期待しててね」
そう言うと笑顔を向けてくる。ごめんね紫……きっと僕の予想を裏切る展開はないよ。
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