第二章 [ 神 鳴 ]
十五話 娘
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諏訪の国。虚空が今住む国の名前である。中心に都を置きその周りを大小様々な町村が点在している。
虚空が住むのは都からは離れた住人が70にも満たない小さな村である。元々定住をせず放浪し続けていた虚空だったがとある事情で5年ほど前からその村の厄介になっていた。普段はその村や周りの村からの要請で妖怪や邪神などの討伐を請け負っている。
長き歴史の中でも地上に生まれた者達と敵対するように妖怪は生まれていた。
反存在。
歴史を見てきた虚空は妖怪をそう捉える様になった。妖怪は穢れではなく何かが生まれると同時に発生する陰のような者だと。
まぁあくまでこれは虚空の推測だ。彼は学者でも科学者でもない。実際存在の神秘にはほとんど興味など持っていなかった。
幾つかの生命の歴史が繰り返され、今の世界になった時から今まで無かった変化が起きた。妖怪とは違う超常の発生。何時ごろからか人々から『神』と呼ばれる者。妖怪とは違い人間側に属する存在。人々の願いや祈りによって生まれる者。そんな存在が生まれた為か妖怪にも変化が起こっていた。
人を害さない妖怪の出現。人に友好的で共に生活をする者もいる。これだけ見ればこの世界は途轍もなく平和だろう。
しかし妖怪が人間の反存在なら神にもまた反存在が生まれるのも必然。
それが『邪神』。
先程虚空が倒したのも邪神だ。妖怪と同じで姿形に規則性はなく、1番の問題は人妖構わず襲い掛かってくる事だろう。この邪神の存在が人に友好な妖怪を生んだ原因かもしれない。
今この世界は極めて混沌としていた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
日が落ち始め暗くなってきた空を僕は飛び続けていた。そして視線の先に小さな村が見えてきたその村の入り口には数人の子供達が集まって僕に手を振っている。
「とーちゃん!ななかせさまが帰ってきたよーーーーー!」
その中の1人が近くにいた自分の父親にそう告げる。その声が聞こえたのか村の中からぞろぞろと住民達が集まってきた。口々に「お帰りなさいませ!」「お疲れ様です!」などと言って迎えてくれる。
「ただいま。っと言うかいつも言ってるけどこういう出迎えは要らないって」
気持ちは嬉しいけど毎度そんな風に敬われると困る。まぁ普通の人達からすれば僕も神様扱いなんだよね。僕達がそんなやり取りをしていると村の奥から老人と小柄な男性が歩いてきた。
「七枷様お帰りなさいませ」
そう言ってきたは白髪で口髭を生やしたご老人。
「ただいま村長。村長からも言ってよ、いつもこんな出迎えは要らないって」
僕が村長にそう頼むのを聞いてその隣にいた小柄な男性が代わりに答えてきた。
「まぁまぁ七枷殿、皆貴方
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