V
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
死が既知かどうかはまだ試したことがない。
だがまあ、もし既知でないならば――――悪くはないのかも。
「そこは嘘でも大丈夫って言ってくださいよ。んじゃ、俺ホール戻るんで何かあったら内線ください」
呆れたように溜め息を吐くバーテン、言っても無駄だと理解出来るくらいに付き合いは長い。
「ああ、色々とサンキュな」
バーテンが去った後で気付く。
「……俺、アイツの名前知らねえや」
薄情だと思わないでもないが、所詮俺はこんなものだ。
向こうも分かって付き合っているんだろうし気にする必要はないだろう。
「ふぅ……ごっそうさん」
半分ほど食べてもう腹は膨れてしまった。
口の中の脂っ気をジャンジャーで流し込み一息。
ふと、携帯のランプが点滅しているのが目に入る。
開いてみるとメールが一件、風花からだった。
「ふむ、アイツらはキッチリやってくれたみたいだな」
内容はイジメがなくなったことへの礼だ。
もっとも、こんな手段で片付けたからにはアイツも相当浮くだろう。
元々友達がいない奴だったが、更に孤立するのは予想に難くない。
「……それを気にする性質でもないだろうがな」
そこで画面の時計表示が零を四つ示す。
途端に雰囲気が変わり、あの時間になったことを肌で感じる。
こうなると電化製品はまるで意味を持たなくなり、暇が加速してしまう。
テレビを見ることもネットをすることも、音楽を聴くことも出来ない。
「ああ、そうだ――外に出りゃ暇を潰せるかもしれない」
公子と出会った日に初めて見た化け物。
あれが外に居るかもしれないから、暇は潰せそうだ。
身体に弾帯を巻き、コルトを手にホールへと出たら、
「おや? ジン、彼は」
この時間帯にあり得ないものを見つけてしまった。
「せや、コイツがターゲットやけど……」
「象徴化していないとは驚きましたね」
上半身裸のロン毛、生え際の怪しい眼鏡、白のゴスロリ着たメンヘラっぽい女。
満貫レベルの不審人物がどうしてこんなところに?
何て疑問に思うほど俺も抜けてはいない。
「よう、おたくらアレかい? 復讐代行人ってやつなのかな?」
ターゲット云々言っていたから試しに問うてみたが、
「ええ、そうですよ」
驚くほどあっさりと肯定されてしまう。
「ちょ……おいタカヤ!」
「ジン、うるさい」
「お前はだぁっとれチドリ!」
ロン毛がタカヤ、禿がジン、ゴスロリはチドリと言う名前らしい。
何となく偽名臭いが問題はそこじゃない。
「あなたは裏瀬――――」
「ああ、俺が裏瀬だ。お前らのターゲットのな」
「ほう……その物言い、まるで私
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ