暁 〜小説投稿サイト〜
キャラメル
第一部
第一章
キャラメル
[3/4]

[1] [9] 最後 最初
業は向いていないと呆れて言うだろうか?
 そんな才能は無いでしょと冷たく突き放されてしまうだろうか?
 
 でも、その前にある程度の結果を出しておけばいいのだ。
 それなら中学生でも応募できるコンクールに挑戦してみよう!
 そうよ、私は小説を書きたいの!
 趣味を仕事にしたいの!
 
 目を移した先のカレンダーには今日の日付の所に「中間テスト2週間前!」と、書いてあったが、
 ナノの目にはその情報は映ってなかった。
 あと、一か月で私は十四歳になる。
 それまでに一作書上げられるだろうか?
 いや、書かなきゃでしょ。
 間に合わせなきゃでしょ。
 いけるでしょ。
 よし、決めた。
 中三になったら、高校受験があるし、自由な時間が減っちゃうでしょ。
 だから、今のうちに!
 
 そう思ってパソコンを開こうとして気が付いた。
 ・・・そういえば、お母さんにテスト近いからって没収されてたんだった。
 

 
 中間テストも終わり、文化祭に向けて各クラス着々と準備が進められている頃、
 ナノは合唱コンのために指揮の練習をしていた。

 まさか、二年間連続で指揮者に推薦されるなんて思ってなかったけど
 音痴だしこれで良かったかもなぁ・・・。
 宮本乃愛の歌だから歌いたかったけど・・・さ。

 結局多数決でクラスの半分以上を占める女子達の団結力により、
 宮本乃愛の「金木犀と銀木犀」という歌に決まったのだった。

 「澄田さん、やっぱし歌いたかったんでしょ?」
 少し寂しそうな笑顔で伴奏担当の「五十里」さんが話しかけてきた。

 「なんで?あたし、歌下手だし。まぁ、乃愛さんの歌は確かに好きだけどさ。」
 ナノは不思議そうに五十里を見た。

 それを聞いた五十里は少し真剣な顔をしながら、そっかと言った。
 
 「そっか。えっと、なんか去年より元気が無いっていうか何というか・・・、
  あ、そう、ピシッとしてないって言えばいいのかな、とにかく楽しそうに指揮してよ。
  才能はあると思うし・・・
      
      そして、顔をあげ、ニコッと口角を上げると 
      
      ・・・よし、一緒に頑張ろう。」
 
 
 ナノは五十里の言いたかったことを理解すると、小さく頷き、
 深呼吸をして再び指揮の練習を始めた。

 
 「文化祭まであと二週間もないんだよ!いい加減真面目に歌ってよ!!女子ももっと大きな声出してよ!!!」
 
 学級委員の女子がいくら声を張り上げても、反抗期の男子生徒は聞く耳をもつ筈が無い。
 なんで分からないのだろうか?  宮本乃愛の歌は確かに上手いよ。
 でも、それは、宮本乃愛が歌っているからね。中学生が、しかも初心者集まりの
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ