第一部
第一章
キャラメル
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業は向いていないと呆れて言うだろうか?
そんな才能は無いでしょと冷たく突き放されてしまうだろうか?
でも、その前にある程度の結果を出しておけばいいのだ。
それなら中学生でも応募できるコンクールに挑戦してみよう!
そうよ、私は小説を書きたいの!
趣味を仕事にしたいの!
目を移した先のカレンダーには今日の日付の所に「中間テスト2週間前!」と、書いてあったが、
ナノの目にはその情報は映ってなかった。
あと、一か月で私は十四歳になる。
それまでに一作書上げられるだろうか?
いや、書かなきゃでしょ。
間に合わせなきゃでしょ。
いけるでしょ。
よし、決めた。
中三になったら、高校受験があるし、自由な時間が減っちゃうでしょ。
だから、今のうちに!
そう思ってパソコンを開こうとして気が付いた。
・・・そういえば、お母さんにテスト近いからって没収されてたんだった。
中間テストも終わり、文化祭に向けて各クラス着々と準備が進められている頃、
ナノは合唱コンのために指揮の練習をしていた。
まさか、二年間連続で指揮者に推薦されるなんて思ってなかったけど
音痴だしこれで良かったかもなぁ・・・。
宮本乃愛の歌だから歌いたかったけど・・・さ。
結局多数決でクラスの半分以上を占める女子達の団結力により、
宮本乃愛の「金木犀と銀木犀」という歌に決まったのだった。
「澄田さん、やっぱし歌いたかったんでしょ?」
少し寂しそうな笑顔で伴奏担当の「五十里」さんが話しかけてきた。
「なんで?あたし、歌下手だし。まぁ、乃愛さんの歌は確かに好きだけどさ。」
ナノは不思議そうに五十里を見た。
それを聞いた五十里は少し真剣な顔をしながら、そっかと言った。
「そっか。えっと、なんか去年より元気が無いっていうか何というか・・・、
あ、そう、ピシッとしてないって言えばいいのかな、とにかく楽しそうに指揮してよ。
才能はあると思うし・・・
そして、顔をあげ、ニコッと口角を上げると
・・・よし、一緒に頑張ろう。」
ナノは五十里の言いたかったことを理解すると、小さく頷き、
深呼吸をして再び指揮の練習を始めた。
「文化祭まであと二週間もないんだよ!いい加減真面目に歌ってよ!!女子ももっと大きな声出してよ!!!」
学級委員の女子がいくら声を張り上げても、反抗期の男子生徒は聞く耳をもつ筈が無い。
なんで分からないのだろうか? 宮本乃愛の歌は確かに上手いよ。
でも、それは、宮本乃愛が歌っているからね。中学生が、しかも初心者集まりの
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