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出て気づく、まだ酒が残っていることに。
飲酒運転なんて気にする性質でもないが……止めておこう。
万が一事故ったらアホらしい。
復讐代行サイトの連中と会うのが先延ばしになってしまうかもしれないし。
「……まあ、徒歩で行けん距離でもないしな」
ぼんやりと空を眺めながら夜道を歩く。
急ぐでもなく、何を考えるでもなく歩いていたらすぐだった。
時間的にはそうでもないが、感覚的にはすぐだ。
「あ、裏瀬さん。チャーっす」
入店するとバーテンの一人が挨拶をして来た。
「おう。俺は奥に居るから後で何か軽くつまめるもの頼む」
「うっす」
俺も軽く挨拶をして店の奥にあるVIPルーム――と言うわけではないが、専用の部屋に入室する。
この店の名はクラブエスカペイド、中々に良い店だと思う。
酒の種類、雰囲気、それらも良いが何より良いのは名前だ。
Escapade《予測出来ない行為》、既知を嫌う俺にはその名が好ましく思える。
「失礼しゃーす。メインはラザニアとタコスで良いっすか? いやもう作って来ましたけど」
ソファーの上で一服をしていると十分ほどでバーテンがやって来た。
「いや、別に構わねえが……」
統一性がなさすぎだ、更に言うならば深夜に食うものではない。
カロリーがどれだけかを想像するだけで女性ならば青くなってしまうだろう。
「飲み物はコーラっすけどいいっすよね?」
「OKOK、大丈夫だ。テーブルに置いてくれや」
ソファーに腰掛けたまま眼前のテーブルに料理が置かれていくのを眺める。
軽くつまめるものと言ったのに、随分とボリュームがあるように見える。
少なくともラザニアだけで十分だろうに、タコスとポテト、チキンまで……
「裏瀬さん。何時間か前にメール貰った件、明日にでも動くそうっす」
やっぱり明日だったか。
まあ、こんな時間帯に捕まえられるかは微妙なラインだから当然だろう。
「了解。ああ、それともう一つ。この間チラっと言った復讐代行サイトの件、それも頼むわ」
「それって……裏瀬さんに怨み持ってる連中を焚き付けて書き込ませるってアレですか?」
キョトンとした顔のバーテンを余所に俺はポテトをパクつく。
脂っこいものを夜食えるのは若い者の特権だ。
「そう、それだ」
「……大丈夫なんすか?」
渋い顔のバーテン、大丈夫かそうでないかで言うならば大丈夫じゃないだろう。
今のところ100%の確率でターゲットを葬り去っている代行人とことを構えるのだから危険は当然だ。
「さあ? やってみなきゃ分かんねえけど、俺はやりたいんだよ」
「はぁ……分かったっす。そっちは今からでも動けると思いますよ」
「じゃあさっ
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