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と語り始めた。
聞いてみれば何とも阿呆らしい話だ、少なくとも俺からすれば。
「OK、事情は分かったし、どうにか出来そうだ」
「本当……?」
「嘘はつかないさ」
ことの始まりは実に単純明快。
ちょっと前に本屋で高い本を取ろうとした時のことだ。
それは高い位置にあったらしく、風花の背では中々届かなかった。
そうやって四苦八苦している時に間違って落ちた本が彼女の鞄にストライク。
で、その場面を同級生が携帯でパシャリ。
それをネタにしてのイジメ、頭と股の緩い女がやりそうなことだ。
「名前、分からなきゃツラだけでも良い」
「え? えーっと、確か……」
イジメている連中の情報を収集する。
一人でも分かればそいつに他の面子の名前をゲロさせれば良い。
誰一人として分からないなら、足を使って情報をさらえば良い。
イジメなんてものは大抵噂になっている。
であれば月学の二年生に聞くなり何なりして情報を集められる。
「成る程、ね。オーライ、キッチリ型嵌めてやるよ」
手を下すのは俺じゃなくて――――古めかしい言い方をするならば舎弟? だ。
どう言うわけだかアウトサイダーな人間に担がれているような現状に俺は居る。
そいつらは意外にも便利なので、こう言う時は非常に役立つ。
リーダー格の人間に概要をメールすると二十秒もしないうちに返事が返って来る。
「OK、これで大丈夫だ。今日はもう遅いから……明後日くらいにはもう大丈夫だろうよ」
明日の放課後、もしくは登校前に拉致って話をつけるだろう。
下手をすれば輪姦《まわ》されでもするかもしれないが、気にすることはない。
そもそもイジメなんぞやってる阿呆な女を喰うほどゲテモノ好きもいないだろうし。
「あ、ありがとう……」
「どーいたしまして」
「…………」
これで話は終わったが、まだ帰らないらしい。
まだ何か言いたいことがあるようだ。
「煙草、いい?」
「あ、うん」
マッチの火が暗い室内を照らす。
客が来ているのに照明の一つも点けないのはやはり不作法だろうか?
「私、ね?」
「ああ……」
甘ったるいバニラの香り、吸ってる方でこれだ。
風花からすれば吐き気がするほど甘い香りが漂っているのかもしれない。
「本当に駄目だよね。いっそ、キーくんみたいになっちゃおうかな?」
吹けば消えそうな儚い笑みを張り付けて風花は言う。
溜まっていたものが悪い方向に溢れだしたようだ。
「暗くて、考えることも一々後ろ向き。いつも逃げ出すことばかり考えてる」
今にも零れそうな雫が風花の瞳を濡らしている。
「キーくんは、善悪抜きにして考えるなら……いつだって必死
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