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も言わなかったから、今になるまでズルズルと続いている。
「お邪魔します」
小学校高学年くらいまでは何の躊躇いもなく入って来て寛いでいたが今は違う。
思春期に入ってからは思うところがあるのか、何時もそわそわしながら入って来る。
で、床に腰を下ろして所在なさげに視線を彷徨わせて最終的に俯く。
もうパターンが入っていると言って良いだろう。
「家のことか? 学校のことか?」
「え……」
「ここへ来るってことは嫌なことがあったからだろ?」
イジメなんてアホらしいことに精を出したことはないが、彼らの気持ちを察せないわけでもない。
弱者へ加虐を加えることで優越感に浸る、その点で言えば風花はうってつけの人材だ。
「…………」
弱弱しいように見えるし、実際その通りだが芯がないわけではない。
だが、それを表に出さないから付け入る隙を与えてしまうのだ。
「持ちつ持たれつ、だろ?」
コイツの趣味は機械いじりで、それは趣味の範疇を超えて喰って行けるレベルにまで達している。
電子レンジの修理からハッキングやクラッキングまで何でもござれ。
世間的に良からぬことをする際の手伝いなどをしてもら――――いや、させている、だな。
弱さと情に付け入っているのは俺も同じだ。
「わ、私は……」
「なぁに安心しろって。悪いのは全部俺。何がバレようともお前のことはゲロしないさ」
親のことならどうとも出来ないが、学校関係でなら出来そうなことは多々ある。
問題にもよるが――――まあ、よっぽどのことがない限りは大丈夫だ。
「お前は何も気にしなくていい。今お前が置かれてる状況は、お前に非があってのことか?」
「…………」
フルフルと首を横に振る。
風花が落ち込んでいる理由は彼女の非によるものではないらしい。
嘘ではないだろう。
自分に非があると思っているならば一人で溜め込んで自滅するタイプだし。
「……お互い、腹の中は見せ合ってるだろ? 今更隠し立てすることなんかないだろうに」
中々話を始めない風花を諭すように語りかける。
世間一般で言う悪いことをするために手を貸して欲しい。
冗談交じりにそう告げた時、風花は問うて来た。
"どうしてそんなことするの?"
真っ直ぐ俺の目を見つめて真摯に問いかけて来たのだ。
理由も聞かずに止めろと言うでもなく、どうしてと言ったのだ。
だから俺も包み隠さず正直に総てを打ち明けた。
妄想だと切って捨てても良いような与太話を風花はちゃんと聞いてくれた。
信じくれて、その上で彼女協力をしてくれたのだ。
であれば礼を尽くすのは当然だ。
「あのね、キーくん――――」
ようやく風花はポツポツ
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