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酒瓶が床に転がった音で目を醒ます。
自分の部屋で一人酒をして、そのまま寝てしまったらしい。
「あー……」
携帯を開けばもう日付が変わって四月二十日になっていた。
六日の夜にあの子と出会ってもう随分と日が経つ。
連絡先を交換してから頻繁にメールが来ていたが――――ここ最近はまったくない。
飽きたのか、もしくは何かあったのか……まあ、どちらでも構わない。
「酒臭えなぁオイ」
ちらばった酒瓶とつまみにしたスナック菓子の袋などをゴミ袋に叩き込む。
分別なんてものをする気力は無論のことなかった。
無気力なまま、一通りの片づけを終えるとそのままソファーに倒れ込む。
自堕落極まりない生活だが、それを咎める者は居ない。
俺を拾った養父母は高校入学の少し前に事故で死んだ。
今はだだっ広い家で一人暮らし。
医者だった彼らに拾われた俺は幸運と言ってもいいだろう。
だが、彼らは俺を拾って幸せだったのだろうか?
夫妻は子宝に恵まれず、もう諦めかけていたと聞いた。
そんな時に俺を拾って養子にした。
溢れんばかりの愛を注がれたように思う。
俺に何を強要するでもなく、ただただ健やかにと願ってくれていた。
だがどうだ、俺は社会不適合者一直線。
理由があると言えばあるが、他人からすれば精神病と受け取られても仕方ない理由だ。
そんな糞餓鬼を息子にした彼らは――――
「ん……」
酔いのせいか、クソつまらない思考に耽っていたようだ。
窓の外から感じた気配のおかげで一気にそこから抜け出せた。
「こんな時間に何の用だ病弱ちゃん?」
カーテンを開いて外を見ると、予想通りにアイツが居た。
子供の頃から何も変わらない――いや、成長していないと言うべきか。
「ご、ごめんなさい……」
儚げで、イジメテオーラを醸し出している幼馴染の山岸風花が申し訳なさそうに屋根の上に立っていた。
家が隣同士で、嫌なことがあればすぐに俺の部屋へと逃げて来ていた――――何も変わらない。
「その、寝てた……かな?」
「さっき起きたとこだよ。まあ、酒臭くて悪いが入れよ」
山岸の家は代々続く医者の家系で、俺の養父母とも関わりがあった。
とは言っても風花の両親は医者ではなく、父方の家系とだが。
それに加え、家も偶然隣と言うことでガキの頃から彼女とは付き合いがあった。
両親とは若干不仲で、家に居場所がない。
風花の両親が――特に母親が見ているのは成績のみ。
医者になることを過度に期待されているせいだろう。
そんな状況で居心地がいいわけがない。
俺の養父母もそこら辺を察していたからか、ガキの頃から家を逃げ場として開放していた。
そして俺も特には何
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