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いってか? けど、アンニュイな不良も居るぜ?
逃げてることへの自己嫌悪だったり、将来のこと考えたりしてな」
今すぐキスして押し倒したい、まるでレイパーの思考だ。
気持ち悪いったらない。
「うーん……上手く言えないんだけど、何か違うんだよ」
「ふぅん、個人の感性だし別に良いけどさ」
実際のところ当たっているのだから。
ただ、俺がそう言うことをやっているのは逃避からではない。
非日常に足を突っ込むことで未知を感じたいからだ。
「な、何かごめんね?」
「だから良いって。つかさ、俺も気になってることあるんだよね」
「何?」
「こんな時期に転入なんてワケありの匂いがするんだが……そこんとこどうよ?」
「アハハ、そこ聞いちゃうんだ」
「まあね」
そうやって他愛のない話をする俺達。
だが、話題なんてものは唐突に尽きるもの。
ふと、無言の時間が顔を出す。
「あ、あの……」
俯いて何かを考えていたっぽい公子が意を決したように顔を上げる。
「裏瀬くんってさ」
「ん?」
「一目惚れって信じ――――」
カチリ、と時計の針が頂点で重なる。
「え、何これ……」
何かを言い掛けた公子は突如表れた変化に驚きを露わにした。
薄気味悪い月の下では溢れていた人間が棺桶に早変わり、驚くなと言う方が無理だろう。
俺がこれを知覚したのは何時だったか覚えていないが、随分前からこうだ。
「公子ちゃんは、これ見るのハジメテ?」
「は、ハジメテ……え、何なのこれって……」
「さあ? 俺もよくは知らねえ。ただ、十二時になったらこうなるのさ」
常軌を逸した事態、これにハジメテ立ち会った時も驚きはなかった。
こんなオカルトな現象、滅多にお目にかかれないはずなのに。
ああ、これも知ってる――その程度の感慨しかなかった。
「アレな奴だって思われたくないなら黙ってた方が良いぜ。俺も何となく、ツレに話してみたが……」
「みたが?」
「薬キメてんじゃねえのって笑われたからな」
酔った時にポロリと漏らしたが、誰だってそうだろう。
俺がツレの立場なら間違いなく同じことを言っていたはずだ。
ああでも、一人だけちゃんと聞いてくれそうな奴もいるか。
「……だよね。うん、私も正直こんなの誰に話しても信じて貰えないと思うし」
「それが賢明だ。って、どうしたのよ?」
「――――」
ポカーンと大口を開けてあらぬ方向を見つめている公子。
釣られて俺も視線を向けると、
「へえ……」
異形が居た。
人ならざる形を成しているそいつは気持ち悪い動きで此方へと向かって来ている。
「う、嘘……何あれ――ううん、違う! 逃げなきゃ! 裏瀬く
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