暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
大望のために……
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事務方の手勢では絶対に捌けない量になりつつあるので来てください……と、半ば脅すように副官に言われたため、第三師団のメンツにとってはレアな姿である制服でそのビルに入っていった。

「……案外似合ってるじゃあないか」
「お前の感想など聞いとらん。仕事しろ、日野坂」
「してるよ。ほら、今朝の」

ドサッ、と紙束を渡される……のではなくコンパクトなUSBを渡される。

「どうだったんだ?実際」
「うーん……。艦自体には問題なし。やっぱりネックは『トライデント』だね。その他の支援武装は問題なしだけど主砲がアレじゃあね。カッコ悪い」
「例の装置はどうだ?今回組み込んだだろ?」
「改良の余地アリ。でも成果が有ったことは確かさ。まあ見てなよ……笠原さんと僕が必ず完成させるさ」
「……頼む。無理を言って悪いが、時間がない」

日野坂は俺の言葉に不敵に微笑むとフラフラっと部屋を出ていった。

「さて、と……」

USBをデスクの脇に置き、部屋いっぱいに置かれた段ボールのタワーズを横薙ぎに見渡す。

今日は8時に木綿季とALOで会う予定だ。
現在は5時。何時間向こうにいるかは分からないが、なるべく片しておいて後で損はするまい。

先ずは日付の古いタワーに手を伸ばし、先の見えぬ戦いを始めるのだった。




____________________________________



「やあっ!」

ユウキの神速の一閃が頭上から迫る。
神速というのは決して誇張ではなく、そのスピードに乗った一撃は無防備に食らえばただでは済まない。が、唯一にして致命的な弱点がユウキにはある。

「甘いな」

刃の側面に捻りきった腕を突きだし、捻り上げる。
螺旋運動に巻き込まれた剣は僅かに軌道を逸らし、回転運動を伴った正拳突きがユウキにヒットする――寸前で余波を撒き散らしながら停止した。


「わ……」
「わ……、じゃなくてだな。せっかくの速さも軌道が読みやすいと今みたいになるぞ」
「だって……今までそれでやってきたんだもん」
「まあ、確かにユウキは強いさ。でもな、そのままだと俺とか、セラとか……後は数人居るバケモノには勝てないぞ?」
「バケモノ?」
「後で話すよ。……って、待て。よく考えたら何でこんな事になってるんだ?」
「え?デートでしょ?」
「……違くない?何か違ってない!?」
「…………?」

コラそこ。「え?違うの?」って可愛く首を傾げるな。少ない俺の常識が揺らぐ。



……その昔。《圏内事件》以降、頭の配線をどう繋ぎ直したのか知らないが、アスナのキリトや俺に対する態度が軟化した。
特にキリトにはあからさまにアピールを始めた(それに対するキリトの反応は既に語った通りだ)。

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