第五十五話 感傷と干渉
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想した通り他にも幾つかの残骸を発見したのだろう。残骸を発見するたびに記録を撮っていく。
『よし、これだけ集めれば十分だ。各員、撤退するぞ』
そうして彼らは母艦に帰還していった。集めたデータは一つのファイルに入れられていく。そのファイル名は『eternal sink』と書かれていた。
◇
「さて、盤面は既に佳境というべきかな?」
デュランダル議長は勝利か敗北かの瀬戸際という今の状況を楽しんでいた。元々敗北の瀬戸際に追い込んだ間接的な原因は議長自身なのだから当然だろう。レクイエムでプラントの一部を崩壊させたのも、ゴンドワナ主力部隊をコロニーレーザーで壊滅に追い込んだことも、それらの事前情報は既に持っていた。にも拘らず、彼はそれを伝えなかった。己の悲願を成す為に。
「デスティニープラン……人類が種として導かれる世界。悪く言えば統率され、人が遺伝子に支配される世となる。そして、これを受け入れられぬというなら、別の導き手が必要になる――――」
チェス盤は以前にもまして混沌と化しているだろう。あらゆる駒が盤面で入り乱れているのだから。ナイト同士のぶつかり合い。ルークに挑むナイトとビジョップ、孤独のクイーンの傍に佇むこちらのルーク。
「可能性は多い方がいい。なら不確定なものは取り除くべきか――――それとも、それを介して新たな可能性を紡ぐ事とするべきか。どちらであろうとも構わない。それは私自身の可能性を導く結果となるかもしれないのだから」
盤面のガラスの駒であるクイーンを横に倒す。それはそのまま転がり落ち、テーブルから落ちて、砕け散った。
「さようなら、ラクス・クライン――――君の歌はラウ同様、私も好きだったよ」
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