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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-42夢の邂逅
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上げ、見詰めていた少女のそれと、視線がぶつかる。

「お願い……!誰か、受け止めて!私の願いを……」

 女性の視線は見詰める少女を通り抜けて更に遠くに向かい、何も存在しないであろう虚空に助けを求めるようにして叫ぶ。

「届いて……。私の、この想い……」

 女性の力無い呟きを最後に、少女の視点が急速にその場から遠ざかる。

(待って。あなたは、誰?ピサロ、って?デスピサロじゃ、ないの?あなたは、あのひとの、なに?あのひとは、あなたの、……なに?)

 鎮まることはあっても消えることの無い憎しみを抱く相手が、大切なもののように扱うその女性は。
 あの男を案じるように、不思議に輝く涙を流したあの女性は。

 優しくひとを思いやる心なんて持たないと、考えるまでも無く決め付けていた相手が見せたあの姿は、一体なんなのか。

 それなら、なぜ、あのとき。
 なぜ、これから。

 沸き上がる疑問の海に沈むように、少女の意識は夢から離れ、深い眠りに落ちていった。



 翌朝。
 目を覚ました仲間たちは、一様に複雑な表情を見合わせ、静かに身形(みなり)を整えて、朝食の席で顔を揃えたのを機に、それぞれに話し始める。

「……皆さん。同じ夢を、見たのでしょうか」
「銀髪の色男とピンクの髪の女が出たってんなら、そうだな」
「人間を滅ぼす等と、不吉なことを言うておったの」
「ピサロ、と言っていたな。デスピサロとは、また別の者だろうか」

 アリーナの言葉を受けて、少女が口を開く。

「あのひと。わたしの、村にきたひとだった。デスピサロって、言ってた」
「……そうか。それなら、あれがデスピサロで間違い無いようだな」
「それなら、あの塔の場所がわかれば。あの女性にお話を聞いて、手がかりをもらえそうなものだわねえ。」
「夢で見た場所を探すとは、雲を掴むような話ですな。ミネア殿の占いで、わからぬものだろうか」
「夢で見ただけの相手や場所だと、難しいかもしれませんが。見当を付ける程度なら、できなくはないかもしれません。あとで試してみます」
「それはそれとして、まずはあれだ。天空の盾をもらいに、ガーデンブルグとやらに行くんだろ?」
「そうじゃの。場所も目的もはっきりしておる以上、そちらが先決じゃろうの」


 村人にひと通り挨拶を済ませ、まだ決まり悪げながらもなんとか顔を見せられるまでに持ち直したププルとも言葉を交わしたホイミンを、マーニャがバトランド城下町に送り届け、戻るのを待って一行はイムルの村を発ち、険しい岩山に閉ざされた女性の国、ガーデンブルグに向かう。

 イムルの東に位置し、バトランドの東の国境線となる岩山を、海を船で移動することで越え、船を降りて馬車での移動を開始する。
 ガーデンブルグ
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