第四十一話 百物語と茶室その七
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「ただ制服姿の女の子を見て楽しんでるだけよ」
「それでも何かいやらしいですよ」
「先輩が仰ると」
「それは偏見よ。私は酔ってないとね」
その時限定だというのだ。
「セクハラしないから」
「まあそのことはわかってきましたけれど」
「私達にしても」
とはいってもだった、二人の顔はいぶかしむ顔のままだった。
そしてその顔でだ、茉莉也にこうも言うのだった。
「先輩って本当に男の人だけじゃないんですね」
「女の子もなんですね」
「そうよ、私はバどっちもなのよ」
自分でもこう言う。
「男の子はあの人だけだけれどね」
「女の人は誰でもですね」
「それも何人も」
「そうよ、女の子が相手だと浮気にならないから」
同性愛はそうらしい、少なくとも茉莉也の認識ではだ。
だがその認識については、聖花がこう指摘した。
「ただ、人によりますけれど」
「同性愛でもよね」
「はい、浮気って考える人いますよ」
「いるわね、実際に」
その通りだとだ、茉莉也も言う。
「百合でも薔薇でもね」
「同性愛でも三角関係とか四角関係があるって聞いてます」
「これがあるのよ」
茉莉也も知っていた、このことを。
「それで結構怖い話もあるのよ」
「確か荒木又右衛門もですよね」
「そうそう、あの仇討ちの元は同性愛の痴話喧嘩なのよ」
そこからはじまったというのだ。
「日本には結構そういう話が多いのよ」
「確か武田信玄もそうでしたよね」
「詳しいわね」
「本で読みました、愛人の小姓さんに身の潔白を言う手紙を書いていたって」
「高坂弾正って人にね」
「何か凄い美形だったって聞いてます」
この高坂弾正、かつての名を春日源助といった人物は才覚も素晴らしかったが極めつけの美男子だったことでも知られていた、擦れ違った者が思わず振り返る程だったという。
「それで信玄も愛人にして」
「信玄は女性も愛したけれどね」
「同性愛も好きで」
「そう、浮気をしてね」
実際はそうしていたと言われている。
「それで何か言い繕う手紙を書いてたのよ」
「そうした話が本当にあったんですね」
「そうなのよ、けれど私はね」
茉莉也の場合はどうかというと。
「そこまでいかない様に。割り切った相手じゃないとね」
「そこまではですか」
「いかないんですね」
「そう、そこを見極めて」
そしてだというのだ。
「それからなのよ」
「ですか、だからですか」
「女の子は何人もですか」
「そうよ、そうしたトラブルは避けないとね」
それだけの思慮があってこそだというのだ。
「危ないのよ、女の子と遊ぶのは」
「先輩も考えておられるんですね」
「当たり前よ、恋愛は真剣勝負でもあるのよ」
茉莉也は今度は愛実に話した。
「だか
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