第九十五話
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ンの意思をひしひしと感じている。
「速くっ!」
「あ、ああ…」
わたしの怒声に我に返ったランサーは両脇にわたしとお母様を抱えて跳躍し、川岸から遠ざかる。
「あれは何だっ」
いち早く異常に気が付いたのはランサー。
彼の見上げた先には夜をも照らす輝きがあった。
「あれは…太陽?」
お母様も信じられないと目を見張った。
その大きな太陽の如き光球はあたりの魔力を根こそぎ奪うかのように集まった魔力の塊だ。吸い寄せられる魔力が銀色に光り、とても美しい光景を眼前に映し出している。
そして段々と大きくなる銀色に光り輝く光球は未音川下降一帯を明るく照らし出してゆく。
その途轍もない魔力量と奇異さを感じ取ったセイバーとライダーも未音川から距離を取り、此方へとやってきた。
「ありゃあ何じゃ」
「あの光はいったい…」
光球の下に大きな魔法陣が展開されると、そこが集束レンズであるかのように銀光が海魔目掛けて奔る。
「なっ!?」
驚きの声を上げたのは誰だったか。わたしだったかもしれないしお母様だったかもしれない。いや、セイバーやランサー、ライダーやそのマスターだったかもしれない。しかし、驚きは皆一様に同じだろう。
視界を銀色で染まるほどの輝きが海魔を貫き、再生すら間に合わない速度で殲滅していく。その威力は見るからに明らかで、振り下ろされた衝撃で未音川の水は逆流し津波を起こしただけではなく、銀光がやむと当たり一帯が消失したかのように大きなクレーターが出来ていた。
互いに声も出ない。チャンピオンの出鱈目さを知るわたしですら声にならないのだから回りの反応は押して知るべしだ。
とっとと。呆けてばかりもいられない。
わたしが此処に来た目的を果たさなければ成らない。
倒されたサーヴァントは小聖杯へと回収される。しかし、今回は聖杯が二つ冬木の街に存在している。
わたしとお母様だ。
本来の聖杯はお母様だけど、聖杯としての力が強いのはわたし。だから、これだけ近くに居れば倒されたキャスターの魂を掠め取る事くらいは出来る。
そうやってアサシンの魂も今はわたしの中に回収されている。
ゾワリと何かが入ってくる異物感。キャスターの魂を無事にわたしが回収した証拠だ。
これで二騎目。四騎もあれば小聖杯は起動できる。わたしならば四騎までは人間の機能を損なう事はなく回収できるだろうし、一度聖杯としてあの泥を浴びた事により、若干ながら耐性がある。
だったら…
お母様を盗み見れば、その顔はあの惨事とは別の事柄で戸惑っている風だ。それは当然だろう。自分が回収するはずのサーヴァントの魂が入ってこないのだから。
だけど、お母様に回収させる訳にはいかないの。
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